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Items / Silverware

Argent Massif “Filet Mini Spoon”

 

フィレ (Filet) と呼ばれ親しまれてきた、フランス語圏で古くから見られる伝統的なハンドルデザインの小さな純銀スプーンの紹介です。

デザイン自体は定番の1つですのでご覧になったことのある方もいらっしゃるかと思いますが、純銀で古手の作りのものは希少です。背面のモノグラムも美しいですね。

またこちらのスプーンの特筆すべきは、13cmというそのサイズ感だと思います。

一般的なティー規格(14.5cm前後程)に比べると小さめで、モカ規格(12cm前後程)に比べると大きめ。薬味皿や小さなコーヒーカップに添えて。このスプーンこそが活躍するシーンは多いと思います。

同じハンドルデザインのカトラリーは20世紀以降のシルバープレート素材でも見つけることはできますが、銀のみの成型でこそ生み出すことのできる繊細な軽やさこそが、フィレの装飾性を上品に落とし込んでくれると思っています。

長く使い込まれたことを想起させてくれるアンティークならではの魅力的な風合いがありながらも、磨きをかけることで輝きをいつまでも保ち続けることができる。時を紡いでいきたいと思える一品です。

 

因みにこのハンドルモチーフを「フィレ」と呼ぶようになった由縁ははっきりとはわかっていないのですが、細長い線を繋いで生み出される装飾模様にフィレの呼称がよく使われ、ほかにも本の装丁や額装においてもフィレと呼ばれるデザインが各々に存在しているようです (フィレはフランス語で、糸や線というような意味合いがあります)。

古い『アカデミーフランセーズ辞典』を遡って調べてみると、19世紀半ば、1835年発行の第6版では、銀カトラリーの装飾模様としてのフィレ=Filetの記述が確認できます。おそらく18世紀末頃までに、先ずはデザインが規格化し、後追いで個別のデザインを指し示す記号としてフィレという言葉が使われるようになった、ということだと思います(推測)。

 

Argent Massif (純銀器)

素地に別の金属を使うことなく、純度の高い銀のみで成形された純銀器。

美しい輝き、優しい肌触り、食器やグラスに触れたときの綺麗な響き。
そして純銀製だからこそ実現する薄くて軽く、繊細な作り。

クープランでは、鈍い輝きを湛えた18〜19世紀の古手の純銀器を紹介しています。

19世紀、産業化の波のなかでヨーロッパの家庭やレストラン、ホテル等さまざまなシーンに所謂シルバープレート (真鍮や洋白等の下地を銀で覆った銀) の銀器が普及しましたが、純銀器は未だにごく一握りの人々のための高価な品物でした。アンティーク市場でもたくさんは見つからない希少な存在です。

 

L’argent massif en France (フランスの純銀器)

クープランで主に紹介をしている19〜20世紀初期頃のフランスの純銀 (=Argent Massif) には2つの種類があります。

純度95%のプルミエ ティトル (1er titre)、純度80%のドゥズィエーム ティトル (2e titre)。ごく柔らかな素材であることから純銀であっても、銅などの別の金属を素材を少量だけ混ぜて成形をされるのが通例なのですが、その純度に応じて呼び方が異なっています。

性質上プルミエはとても柔らかく、ドゥーズィエームはほんの少しだけ硬質になります。

見分け方はフランス国内で統一して使われていた刻印。例えば1838年から1900年代半ばまでの純銀器にはミネルヴァ (ローマ神話の女神) の横顔の刻印が打たれており、その横に一緒に刻まれている数字「1」「2」を見て、純度を判断します。或いは、アクセサリー等の小物類には猪や蟹の刻印が打たれており、こちらは純度80%であることを保証しています。銀が資産の1つとして捉えられていた時代の名残を組んで打たれた保証のための刻印が、作りの詳細を知る手がかりとなります。

 


 

銀器の普段の使い方とお手入れ方法

銀器は使っていると空気に触れて色がくすんでいきます。

・洗ったあとはできるかぎりすぐに拭いてあげてください。
・毎日と言わずとも定期的に使ってあげることが大切です。

黒ずみが気になるときはお鍋に熱いお湯を張り、アルミホイルと重曹を入れ銀器を浸しください。銀が輝きを取り戻します。またこの方法であれば、銀器の量が増えても、手間が増えずにお手入れいただけると思います。それぞれの銀器は重ねずに離していただいたほうが、効果は出やすいです。

※鍋はアルミ以外の素材を使用してください。
※シルバーナイフについてのみ、ハンドルとブレードの接合部がニワカという熱に弱い糊で接着されているため、上記方法には注意が必要です。

説明をすると面倒な素材に聞こえますが、実際は想像よりずっと気軽に使っていただけると思います。ぜひ暮らしのなかで程よく気をかけてあげながら、銀器と付き合ってみてください。

(ご売約済)

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