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Curiosité / Items

19th Century Provence “Toile”

 

空想の草木。時の移ろいにより褪色した月白色とモチーフを彩る品のよいエメラルドグリーンが、かつての南フランスの人々による夢想を静かに伝えます。

プロヴァンスのアンディエンヌ。推定19世紀初期-中期。木版捺染による更紗の切片です。

インド更紗からの影響を感じる写実的なタッチでありながら、種々織りなし描かれた木々、草花は現実には存在しません。それまた同様にインド更紗の影響。訪れたことのない遠い異国、東方の地に、描き手は想像力を膨らませたのでしょう。

天然染料による木版捺染で生み出された手仕事の気配と、時を経て褪色した古布の纏う表情が、描かれたモチーフと健やかに共鳴しています。

 

 

16世紀末にインドから伝来した更紗の美しさは南フランスの人々を魅了し、その後、当地では数世紀かけて独自の染織物文化が培われていきました。

当時の富裕層はより多くの更紗を所有することで富と繁栄を示しましたが、他方で端切は、大判の更紗を1枚で買うことは難しかった市井の人々によって重宝されてきました。

破れの縫い継ぎからは、かつての持ち主のこの更紗への想いが垣間見えます。

状態も良好な中判サイズ。かつてのように素材として生地使いしていただいても、或いはそのまま風呂敷・クロス使いしていただいても。

(ご売約済)

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