当時の生産数自体が少なかったうえに、底面が傷だらけな個体も多く、上質なアンティーククリスタルガラスのプレートは仕入れることが困難な器の1つです。小ぶりでとても使い勝手の良いサイズ感ですね。ディナー時の前菜プレートに、或いはティータイムのソルベを添えても素敵だと思います。アクセサリー類を飾るインテリアトレーにも良さそうです。
美しく精巧な工芸品としての完成度の高さと、特にガラス側面に垣間見える宙吹き成形が生む職人の気配。弾いたときに響く深く柔らかな音色は、上質なクリスタルであることの証左です。
無刻印のためガラス工は不明。同質、同デザインの器は主にはバカラで作られていて、可能性は非常に高いですが、1900年代初頭頃のフランスには著名なガラス工として他にサンルイ、或いはバカラ、サンルイと同じレベルのクリスタルガラスの成形技術をもった無名のガラス工も複数存在し、カッティングやモデリングからガラス工が特定できることは多いですが、無加飾のシンプルなデザインについては判断が難しく、断定はしたお伝えを敢えて当店ではしていません。
清らかな透明感、美しい輝き、高音の澄んだ音色。まるで天然の水晶のようなであることから、その呼び名で呼ばれるクリスタルガラスは、特に西洋では、装飾芸術としてガラスの価値を高めた存在です。
通常のソーダガラスより硬質で、溶解温度も低く抑えられるという特徴から、繊細なカットやグラヴィールをすることができますが、その成形には高度な知識や技術が必要です。
例えば歴史ある工房では、火を用いてクリスタルを吹く作業「ホットワーク」と、製品を研磨しカットや装飾を施す「コールドワーク」の、それぞれの工程に専門の職人がおり、フランスが世界に誇る著名なクリスタル工房バカラやサンルイは、同国の最優秀職人 M.O.F. (MEILLEUR OUVRIER DE FRANCE ) を多数輩出しています。
高品質なクリスタルガラス成型は、まさに伝統と技術の結晶です。