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古いものを長く使い続けるヨーロッパには、文化の影を残した古物が未だに残っています。長い時間を経て今の時代まで残っていた古物が昔を知る頼りになり、そうして知った昔が今をほんの少し豊かなものにしてくれる。暮らしの道具として、ただ眺めるものとして、知識の源泉として。様々な角度から古物をお楽しみいただければと思います。
Plat Godronné en Faience XVIIe
ファイアンス焼きの起源であるルネサンス期のイタリアが本歌とされ、ヨーロッパ各国に伝わったとされるカタチ。17世紀後期頃のフランスより、輪花の装飾皿。
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Assiette en Faience de Moustiers/Varages
土地の気候風土が感じられる、程よく肩の力が抜けた穏当でおおらかなエレガントは、この時代の同地の工芸品らしく魅力的です。18世紀後期の南フランス、ムスティエ・ヴァラージュのリム皿。
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Assiette en Faience de Moustiers/Varages
18世紀後期頃、ムスティエ・ヴァラージュより。横から眺めたときのぐにゃりと歪んだリムと器全体に走る細やかな貫入。恐らく当時の窯の失敗作ですが、作為のないカタチの不安定さにこそ寧ろ魅力に感じました。
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Montereau Assiette Chantournée vers 1830
染み、カトラリー跡、釉の削げ。経年により使い込み生まれたアブストラクトな器景。柔らかな象牙の色合いに混じり合う古色のグラデーションは、使い込まれたファイアンスフィーヌ固有の美質です。1830年前後頃、モントロー窯。
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Saint-Amand-en-Puisaye Pichet à Vin
無釉の焼き締めである備前焼のような胎土とフランスらしい朗らかな褐釉が施された、独特のコントラストの妙に惹かれて手にとりました。19世紀、サンタマン・アン・ピュイゼの水差し。
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Poterie de Ger Pot à Confiture
ノルマンディー地方、ゲールの陶器です。墨を流したように黒色の作りは、まさにインクボトルを蚤の市ではよく見かけますが、少し珍しいコンフィチュールポットの紹介です。
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Écuelle à oreilles d'Auvergne
19世紀のオーヴェルニュより、古くから「耳付きのエキュエル」として親しまれた伝統的なカタチの汁鉢。 かつての田舎の食卓を彩ったフランス中〜南部らしい朗らかな褐釉陶器。
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Petit Pot à bouillon de Cul Noir
整った造形に曲線の描きかたは柔らかく、キュノワールの美質である素朴な民陶としての焼成感を引きたてています。1900年前後頃、フランス北部の黒釉水差し。
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Digoin Sarreguemines Assiette Calotte Épaisse
フランスではフォルムの類似性から、カトリック僧侶の帽子「カロット」の呼称で呼ばれます。厚皿の紹介です。1920〜50年代頃、ディゴワン・サルグミンヌ製陶所。
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Gien Assiette épaisse
タフで丈夫な陶胎に、フランスのテールドフェールらしい柔らかな肌合いの施釉。相反する要素を合わせ備えた塩梅が魅力ですね。ジアンの半陶半磁厚皿です。
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Assiette en Faience de Moustiers/Varages
18世紀後期のプロヴァンスより。ムスティエ・ヴァラージュ、藍の輪線文リム皿です。食卓に馴染みながら、全体をすっと引き締めてくれる無理のない緊張感が、こうした線描皿にはありますね。シンプルな造形で、しつらえの和洋を問わない魅力もあります。
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Niderviller Petit Plat Oval 25.3cm
軽くやわらかな陶土に、低音焼成による不透明な乳白釉の仄かな磁器質。上品でやさしい工場制手工業によるフランスの古いテールドフェール。1900年代、ロレーヌ地方ニデルヴィレのオーバル皿です。
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Pexonne Plat Rond 30cm
上品でやさしテールドフェール陶器。この時代のフランスにおけるマニュファクチュアとしての過不足を感じない、気持ちの良い一品です。1900年前後頃、ペクソンヌ窯
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Creil et Montereau Plat Oval 28cm
端正な焼成とエッジの効いた上品な造形には、ならでは美質があります。19世紀後期〜20世紀初頭頃、クレイユ エ モントローのオーバル皿です。
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Assiette Octogonale vers 1820-40
一般的なファイアンスフィーヌと初期のテールドフェールの性質が混交したような、とても珍しい作りのオクトゴナル深皿を見つけました。細やかな張りめぐった貫入にできた古色に何より惹かれます。1820〜40年代頃、フランス。
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Creil Petite Assiette Octogonale
涼しげなノーブルを纏った佇まい。テールドピップらしいゆららかな表情の白色には、実直な清廉さを感じます。1810〜30年頃、合併前のクレイユ窯より、ファイアンスフィーヌ、ちいさめのオクトゴナル皿です。
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Digoin Sarreguemines Assiette épaisse
修道院や宿舎といった公的な場所の食堂で日常使いされた半陶半磁の厚皿。フランスのテールドフェールらしい柔らかな肌合いに、質実剛健を感じるタフな佇まい。相反する要素を合わせ備えた塩梅のよさこそが魅力ですね。1920年代頃、ディゴワン・サルグミンヌ。
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Badonviller Assiette épaisse
修道院や宿舎といった公的な場所の食堂で日常使いされた半陶半磁の厚皿。フランスのテールドフェールらしい柔らかな肌合いに、質実剛健を感じるタフな佇まい。相反する要素を合わせ備えた塩梅のよさこそが魅力ですね。1920年代頃、バドンヴィレ。
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Assiette en Faience de Moustiers/Varages
一般的に知られる白釉と比べると仄かに青磁のようなニュアンスを帯びており、どこか東洋の陶器にも通じるような滋味は、食卓のしつらえの和洋も問わないだろうと思います。18世紀半ば頃、プロヴァンス。
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Assiette en Faience fine/Creamware
やわらかな象牙のマチエールに、古典建築を想起させる装飾リム。伝統的な西洋工芸固有の気配を纏いながら、絢爛になり過ぎることのない控えめな印象で今の時代との親和性も感じます。1800年代初頭頃の軟陶皿。
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Lèchefrite en terre cuite
素朴で雰囲気ある茶釉の表情に、ぐっとこちらを惹きつける存在感は王道然としています。当時の庶民の暮らしぶりを想像したくなる、西洋らしい古陶器です。レッシュフリットの名で知られる調理用の耐熱皿。
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Art Populaire sur Faïence
確固たる様式美は、フランスの錫釉陶器がもつ魅力の一つですが、寧ろ寧ろ民衆芸術としてのパーソナルな気配こそを一層つよく感じます。18世紀、フランス地方部のささやかなフォークロア。
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Cul Noir pour Calvados
カルヴァドス盃を主な用途として想定し造られたものだろうと考えています。19世紀末頃、ノルマンディー地方より、簡素な佇まいが好ましい、掌に収まる程にちいさな筒形のキュノワール。
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Creil et Montereau Grand Pot à Contiture
雑味のないミニマルな造りが好きで、見つけたときには仕入れるようにしています。バルリュエ社、1876〜1884年頃。クレイユエモントローのコンフィチュールポットです。
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English Ironstone Lim Plate
柔らかな半陶磁にはしる貫入と仄かな染まりは無理がなく、甘手ですが硬質で実直なニュアンスも湛えてします。フェザーリムに藍の輪線という18世紀以来のクラシックを踏まえつつ、浮き彫りのコントラストが控えめで、気のおけない佇まい。1900年頃、英国製のリム皿です。
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Digoin Sarreguemines Petit Pichet 11.4cm
さまざまな寸法で存在する、この時代の窯を象徴するカタチの1つでもある水差しですが、殊にこの寸法にこそ狙いを定めて普段から探しています。1920年代頃、ディゴワンの水差し。高11.4センチ。
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Digoin Sarreguemines Plat Oval 30.5cm
道具としての柔らかさや、ある種の弱さ。現行品にはない色気をそこはかとなく纏いながら、肩肘張らず安心して向き合える古陶。こういう器こそ、何の気なしに食器棚から日々手に取ってしまいます。1920年代頃、ディゴワンのオーバル皿。
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DIgoin Sarreguemines Assiette épaisse
フランスのテールドフェールらしい柔らかな肌合いに、質実剛健を感じるタフな佇まい。相反する要素を合わせ備えた塩梅のよさこそが、この種の厚皿の魅力でしょう。修道院や宿舎といった公的な場所の食堂で日常使いされた白釉厚皿。
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Chantilly Assiette Dessert Octogonale
個人的には殆ど見た記憶がありません。デセール寸法のシャンティィ。革命前のポントシュー製陶所を軸とした作陶初期の貴族性と、革命後のクレイユやモントローを軸とした作陶最盛期のブルジョワ性との狭間で、二世代を「橋渡し」をするかたちで、ごく短期間に存在感を示したファイアンスフィーヌ。
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Pichet a huile de Dordogne/Périgord
フランス南西部内陸、ペリゴールより。飾り気はなく、全体の印象は粗野で素朴。例えば同じ南フランスの明朗快活としたプロヴァンス気質とは異なる、どこか内向的で静かな気配を纏った19世紀の油差しです。
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Vire-Omelette Provençal
19世紀のプロヴァンスより、オムレツ皿。調理時には蒸し焼き蓋とし、仕上がりひっくり返したときには盛り付け皿とできるよう実用的に設計されたヨーロッパ南西部の伝統的な民陶。
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Plat en Val de Loire
フランス中央部、ロワール川近郊で、より田舎的で素朴な土地の陶芸に、近代的で端正なスタイル(北方、キュノワールであったりの影響)を取り入れて、19世紀に作陶されたものだろうと考えています。アールポピュレールの魅力が詰まった赤褐色釉の大皿。
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Bordeaux Tasse Blanche
すんっとした佇まいに手仕事を感じるハンドルの造形となめらかなテールドフェールの乳白。19世紀後期、ジュール・ヴィエイヤール社ボルドー窯のデミタスカップです。
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Plat en Faience de Moustiers/Varages
ムスティエ・ヴァラージュより。その装飾様式・技術は、17世紀以来、戦争により不足した銀の代用品として王侯貴族のための食器を手がけるなかで発展したことは知られいるところですが、当時の窯々を象徴するリム装飾の一品です。18世紀、プロヴァンス地方。
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Plat Oval en Faience de Salernes
雑味のないシンプルな造形にまろやかで瀞みある釉調。19世紀初期、南フランス。ムスティエ、ヴァラージュ近郊にあった小さな村、サレルヌで作陶された白錫釉のオーバル皿です。
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Gien Plat Carré 1871-75
古手半陶半磁器/テールドフェールの一層ゆららかさを感じる釉調。上質陶器/ファイアンスフィーヌの美質であった陶胎の薄さや釉の高い透明度により実現した緊張感を一定引き継ぎつつ、プロダクトとしての実直なやさしさも内包した、過渡期的な魅力を纏った一品。1870年代、ジアンの白釉角皿。
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Gien Théières 1871-75
比較的古手のテールドフェール陶器の一層ゆららさを感じる釉調には雰囲気があり、19世紀のフランスならではの美意識が漂う緊張感があり彫刻的な一品ですが、装飾性は最低限に抑えられており、楚々とした佇いで華美な印象は持ちません。1870年代、ジアンの白釉テイエール。
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Leeds/Rörstrand Gathers lim Plate
造りの真面目さと細やかなギャザーに漂う品格が、絢爛さをおおらかに包み込みます。英国のリーズ、或いはそれを模倣した最初期のスウェーデン、ロールストランドより。1700年代後期。
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Bylon Carouge Assiette Octogonale
多様な造りが見られる古手のオクトゴナル皿より、現在のスイス連邦・ジュネーヴ州のジュネーヴ郊外南、北イタリア文化の影響が色濃く残る小さな街カルージュで作陶された一品。19世紀初期〜半ば頃。
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18th Century Loza Catalonia
18世紀スペイン、カタルーニャ近郊の錫釉陶器です。さらさら描ききったように思わせる全体と、一歩踏み込んで眺めると仄かに垣間見える稚拙な細部。腕と指に仕事を染み込み覚えさせたであろう陶工こそが生み出せる、作為や構えのない自由さ。土地の気候風土と暮らしが育み生んだ自然な筆触に心惹かれます。
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