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ペクソンヌ、不意の独自性

 

ペクソンヌ窯。現在の市場で見つかるのは、主にはフェナル・フレール(1857年頃より)ブランドの個体でしょう。特に1870年以降、普仏戦争の影響でサルグミンヌの街からペヌソンヌへと逃れてきた陶工たちが従事したことで、村の製陶業は小規模ながらも確かな発展を遂げ、最盛期を迎えました。

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似た歴史的背景を持つことからも分かるように、この時代の作陶品のニュアンスはディゴワンと近しいですが、時折り垣間見える独創性はオタク心をくすぐります。

また、釉薬に肌理の粗さや薄さといった性質があるのだろうと想像しますが、染みが陶胎全体に渡り、やわらかな象牙の肌合いを帯びることが、他の窯と比べてもやや多いと感じています。時を刻み込みながら、テールドフェールの量産を想定したプロダクトらしく佇まいは実直でクリーン。思想の不均衡は自然が正している、その古物ならではの塩梅に心惹かれます。

レリーフのカフェオレボウル、ペクソンヌ固有の魅力が詰まった素敵な佳品でした。

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