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Messe de Notre Dame

 

<Information>

演奏: アンサンブル・ムジカ・ノーヴァ (中世声楽アンサンブル)
録音: パリ近郊、ロヨモン修道院

 


 

静かな夜や寒い冬を、緊張感がありならがも心穏やかにしてくれそうな中世歌曲集。
12〜14世紀フランスの歌声に触れられる1枚です。

中世ならではの素朴で神秘的なメロディーと美しい歌声はどこか懐かしさが感じられ、聴き手の心に自然とすっと入ってきてくれると思います。

アルバムのタイトルにもなっている14世紀フランスの作曲家兼詩人、ギヨーム・ド・マショーによる『ノートルダム・ミサ』は、1人の作曲家がミサ通常文を全章作曲した最古の作品として、中世西洋音楽において最も重要な楽曲の1つです。

 


 

中世西洋音楽の復元について

中世の歌唱曲を演奏しようとする場合、歌い手たちは現存しているさまざまな資料を読み解き、当時の歌唱習慣や楽曲構成等についての理解・解釈を行います。

例えば少し専門的な話になってしまいますが、このアルバムでは、表題曲ギヨーム・ド・マショー『ノートルダム・ミサ』の演奏において、「ムジカ・フィクタ」という当時の独特な音楽習慣や、マショーの生きた時代のフランスのガリア式ラテン語の正しい発音方法の、仔細な研究と実践がなされています。

あるいは当時の典礼用ミサ曲というのは、実際に演奏する際には、楽曲間にグレゴリオ聖歌を挟み演奏するということが慣習としてなされていたのですが、このアルバムでは敢えてミサ曲のみを全曲通して演奏しています。そこにはマショー自身が、この曲を「1つの楽曲」として後世に残したいという ”個としての作曲家の存在の価値付けはまだされいなかった当時としては画期的な” 想いを持っていたであろう、という研究を踏まえた解釈があります。

アルバムの音楽監修を務めたジェラール・ジェー氏が下記のように述べています。

 

“私たちは今回の企画を通じて「正当なマショー解釈」などというような、ある種の決定的解釈を樹立してみせようとしたわけではない−−私たちはただ、この『ノートルダム・ミサ』という傑作を演奏することで、14世紀の歌い手たちの世界に、いま考えうるかぎり最も近い所まで肉迫してみたかったのだ。”

 

中世西洋音楽の再現に真の正解はないのかもしれませんが、深い考察と真摯な想いの基に演奏された音楽は、聴き手の心に刺さります。

音楽という表現方法だからこそ、敷居が高くなることなく気軽に中世という時代に触れられながらも、もし歴史的背景に興味を持った場合には、古楽演奏の音楽解釈は、その深淵に迫る道標の1つにもなってくれると思います。

参照・引用: Lucien Kandel, Gérard Geay, 白沢達夫 訳 “In Memoriam – Messe Notre Dame” æon, 2010

 

アンサンブル・ムジカ・ノーヴァ (Musica Nova)

1990年、中世からルネサンスにかけての多声音楽や単旋律聖歌に魅せられた歌い手たちによって、フランスのリヨンで結成。リヨンを拠点に活動を続けつつ、フランス随一の中世音楽研究機関でもあるロヨモン研究所にも所属。

演奏に際して、厳格なまでの音楽史研究を必須としており、それぞれの分野の実地の研究者たちと意見交換を重ねながら、それを演奏活動へと繋げ活躍を続けています。

 

01. モテトゥス「おとめたち、なぜ驚くのです / なんとたおやかな聖母の美 / 歓喜めされよ、祝福されたる方」
/ フィリップ・ド・ヴィトリ (1291頃~1361)

02. オルガン独奏によるディミニュシオン / 作者不詳 *ロバーツブリッジ写本より

03. モテトゥス「わたしは厚かましくも / あなたは誉れ高く / 救世主をお育てになった母」
/ フィリップ・ド・ヴィトリ (1291-1361)

04. モテトゥス「音楽の技法とは / 修辞法という技法は」
/ ブリュッヘのペトルス *イヴレア写本より

05. モテトゥス「豊穣にして聖なる順列 / 天の極軸を中心に」
/ ジル・ドルレアン *シャンティイ写本より

06. モテトゥス「人は神殿で洗礼を行うが / アポロンの輝きは / 神のしるしが黄道を通る」
/ ベルナール・ド・クリュニー (1100年代)

07. オルガン独奏によるディミニュシオン / 作者不詳*ロバーツブリッジ写本より

ノートルダム・ミサ / ギヨーム・ド・マショー (1300頃~1377)
08. キリエ「主よ、憐れみたまえ I 」
09. キリエ「キリスト、憐れみたまえ」
10. キリエ「主よ、憐れみたまえ II & III 」

11. グローリア「いと高き天には神の栄光」

12. クレド「わたしは信じます」
13. サンクトゥス「聖なるかな」
14. アニュス・デイ「神の仔羊、この世の罪を除きたもう」

15. イテ・ミサ・エスト「行け、ミサは終わった」

16. オルガン独奏によるディミニュシオン / 作者不詳 *ファエンツァ写本より

17. バラード「戦士も、恋人も、貴婦人も、紳士も / あらゆる旋律の真なる精華」
/ フランソワ・アンドリュー (1300年後期) *シャンティイ写本より)

(ご売約済)

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