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1870年代、ルードヴィヒ・ロブマイヤーの私用グラス

 

瑞々しいカリクリスタル。

最高水準の技術力で仕上げられたアシッドエッチングとラウンドカットの繊細な連なり。

皇室御用達としてハプスブルク家からも愛されたウィーンのガラス工房ロブマイヤーで、2代目ルードヴィヒ・ロブマイヤーが、グラヴィールのデザインからモデリングまで手がけ生まれた、氏の私用アペリティフ・グラスです。推定1870年頃成形。

ロブマイヤーガラスの美質でもあるカリクリスタル特有の清々しい軽やかさ、美しく繊細なグラヴィール。食卓の芸術品としての佇まいを纏いながらも、熟練したマエストロによるモスリン・グラスと呼ばれる最高水準の極薄宙吹き成形が、注いだ飲み物を色彩的にも視覚的にも際立たせます。

最高品位のクリスタルを限られた職人の手により作り出し、世界的に名を馳せるロブマイヤー。ハプスブルク家の王宮でもあったホーフブルク宮殿や、ウィーンフィルの本拠地、楽友協会ホールの豪華なシャンデリア等も有名ですね。

近世以来のガラス工芸史を俯瞰して捉えれば、装飾(鑑賞)性から実用性への過渡期を担ったロブマイヤーですが、それでも例えばフランスのバカラやサンルイと比べれば、所謂プロダクトラインというものは少なく、アートピース制作の比重が強いガラス工房でした。そしてそれが故、日本はもちろん、ヨーロッパ全体を見回しても、19世紀以前の「実用的なアンティークロブマイヤー」というのは、非常に希少な存在です。

憧れの一品を、パリの骨董屋で見つけることができました。クープランを介して次の持ち主へ。

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