Glassware / Item

Antique Baccarat “Timbale de Punch taille 7743”

 

アンティークバカラの小さな取っ手付きグラスの紹介です。

無刻印、1900〜1936年頃成型。古いカタログ上では7743のカット番号が振られた、バカラの美質である絢爛さに品の良さが同居した魅力的なカッティング。ショニー (Chauny) やビゼルト (Bizerte) といった呼び名でも有名ですね。

型を用いたマウスブローとその後のハンドカット。バカラの職人の練度の高さは、眺めていて本当に惚れ惚れします。凝固したガラスやカッティングの断面から表情が感じ取れるのは、古いバカラでこそです。

特徴的な形状はタンブル・ド・パンチ (Timbale de Punch) と形容されます。タンバルとは英語で言えば打楽器ティンパニーのこと。丸みを帯びた太鼓のようなフォルムを指してそう呼びます。パンチは英国におけるパンチカップとして有名ですね。グラスは、ブランデーやラムに果汁、炭酸水、砂糖などを混ぜ合わせた「パンチ酒 (ポンチ酒)」を注ぐことを用途として作られました。

前述の通り、パンチ酒は主には英国的な嗜み方だったため、フランスアンティークではほとんど見かけることのない作りです。それはバカラにおいても同様で、タンブル・ド・パンチは、古いカタログでは後半ページにフォルムの記載のみ確認ができますが、カッティング毎の記載はなく、基本的には注文生産品だったのではないかなと想像しています。マーケットで見かけることもほどんどありません。

マニアックかもしれませんが、所有欲をくすぐられる一品ですね。

 

Baccarat (バカラ)

世界で最も名高いクリスタルガラスのラグジュアリーブランドとして知られるバカラ。

その歴史の始まりは、1764年、フランス王ルイ15世に認可され、ロレーヌ地方のバカラ村に設立されたガラス工房です。1816年、現在でもバカラと並んで称されるクリスタルガラスのブランド、サンルイとの一時的な合併時に技法を学び、最初のクリスタルガラスを工房にて製造。その後、1800年代半ばまでは合併、或いは流通提携を続けますが、1860年「バカラ」として正式に商標登録。現在までその歴史が続いていくこととなります。

デザイン、モデリング、ホットワーク(ガラスの吹き上げ作業)、コールドワーク(カッティング、装飾作業)。あらゆる工程に、超一級の職人の仕事が介在した惚れ惚れする程に素晴らしい作りの工芸品。

クープランでは、そんなアンティークバカラの中から、美しくも現代的な風通しの良さが感じられる、上品な絢爛さを纏った品を厳選、紹介しています。

 

Crystal Glass (クリスタルガラス)

清らかな透明感、美しい輝き、高音の澄んだ音色。まるで天然の水晶のようなであることから、その呼び名で呼ばれるクリスタルガラスは、特に西洋では、装飾芸術としてガラスの価値を高めた存在です。

通常のソーダガラスより硬質で、溶解温度も低く抑えられるという特徴から、繊細なカットやグラヴィールをすることができますが、その成形には高度な知識や技術が必要です。

例えば歴史ある工房では、火を用いてクリスタルを吹く作業「ホットワーク」と、製品を研磨しカットや装飾を施す「コールドワーク」の、それぞれの工程に専門の職人がおり、フランスが世界に誇る著名なクリスタル工房バカラやサンルイは、同国の最優秀職人 M.O.F. (MEILLEUR OUVRIER DE FRANCE ) を多数輩出しています。

高品質なクリスタルガラス成型は、まさに伝統と技術の結晶です。

(ご売約済)

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