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Curiosité / Items

Aumonière en cotte de maille

 

19世紀末-20世紀初頭頃。鎖帷子による美しいレティキュール (オーモニエール) の紹介です。

18世紀末から19世紀初頭ごろ、市民革命を経た第一帝政期 (ナポレオン1世治世期) より、上流階級の女性の衣服において、王政期のパニエ入りの大きなドレスが否定され、肌着を省略したよりタイトなシュミーズ・ドレスが流行しました。それにより腰に巻きつけてドレスの内側に隠していた “ポケット” がなくなったため、貴重品入れを手に提げる必要性が生まれ、「レティキュール (Réticule)」と呼ばれることになる、小さなメッシュバッグが女性のファッションとして取り入れられるようになりました。

所謂、今日に繋がるハンドバッグの誕生 (前身) です。

シュミーズ・ドレスの流行はやがて終わり、スカートには再び腰巻きポケットを使うためのスリットが入れられるようになりますが、レティキュール、及びそこから派生し作られた収納服飾小物は、19世紀通して変わらず、上流階級の女性たちを魅了し続けました。

中世の甲冑をルーツとして、19世紀後期から20世紀最初期頃に流行した鎖帷子による服飾小物は、例えば小さな貴重品入れのような小さなものでも1つできあがるのに一週間近くかかったそうです。ここまで手の込んだレティキュール。初めて見ました。

元より貴族、ブルジョワといった限られた女性だけが携帯をしたティキュールですが、そのなかでも一等、手間と時間をかけて作られた一品だと思います。

ふんわりとしたギャザー。さりげないビーズ装飾。持ち手を握り指にかけた状態でもカタチは崩れることなく、美しい佇まいを保ちます。

鋼線の鈍い輝きが生むクールな印象。当時の服飾小物としては珍しいニュアンスを纏っています。どんな女性が身につけたのでしょうね。想像を巡らせる時間も愉しいです。

(ご売約済)

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