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Items / Pottery

Creil et Montereau Tasse decor Relief

 

クレイユエモントローより、古き伝統に倣った葡萄模様を窯独自の感性で昇華させた白釉のレリーフタッスです。

ルブッフ・ミリエ社経営時代中期、1849 – 1867年頃の良質な作陶品。

当時の窯を象徴する意匠の1つ。19世紀のフランスのほかの陶磁器窯と比べても、モデリングや施釉において、品の良さが際立つクレイユエモントローですが、パリ近郊で、フランス中心部に住む目の肥えた都会的なブルジョワ層を主要な顧客にしてという窯の成り立ちを殊に実感させてくれる、そんな佳品だと思います。

絢爛な装飾性ながら、白釉の小さな器ゆえの控えめな印象。
個人的には、この辺りの塩梅は心地よい落としどころです。

指馴染みもストレスなく、中庸寸法。道具としても優秀です。

 

Creil et Montereau (クレイユ エ モントロー)

1796年に開窯したクレイユと、1700年代前半から製陶を続けていたモントローが、1840年に合併してできたのが陶器会社クレイユエモントロー。1920年にはショワジールロワと合併し、社名をHBCM (Hyppolyte-Boulanger Creil Montereau) と変更し、1955年まで作陶が続けられました。

主なマテリアルは当時の主流であったテールドフェール(半陶半磁器)。
パリのブルジョワジーを顧客に、当時のフランス製陶文化を牽引しました。

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Terre de fer (テールドフェール)

技術的・技法的というよりは、商用的な言葉としての側面のほうが強いため語義は多岐にわたり、厳密な定義付けをすることは難しいですが、1800年代初期までの繊細なファイアンスフィーヌ陶器の少量生産を経て、1800年代半ば以降に台頭する市民社会に向けて量産されるようになった、より実用的で磁器質の強い陶器(半陶半磁器)のことを指してフランス語では「テールドフェール」と呼びます。

それ以前の陶器に比べると、主原料である粘土に磁器生産に使われるカオリンや長石がより多く加えられ、釉薬はホウ砂が主原料となっています。

生産者の匂いが感じられる不均一な施釉や経年による貫入といった古い陶器ならではの不安定さと、ある程度量産化が整備された時代の陶器ならではの実直な佇まい。双方が同居した過渡期的バランス感覚は、今の暮らしに溶け込んだときに、無理のない心地よさを生んでくれるなと感じています。

クープランの定番品です。

クレイユエモントロー、ショワジールロワ、ジアン、サルグミンヌ等々。当時のフランスにおける陶器製造の中心にいた様々な陶磁器窯で、多様なテールドフェールの器が作られました。

 


 

W10.7 × D7.4 × H6.5cm

(ご売約済)

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