Glassware / Item

Clichy Petit Verre à Vin 1870-90

 

優雅でクラシカルな佇まい。曲線の描きかたがやわらかく、各部位のディテールはきめ細やかに繊細。また古ガラスならではの揺らぎや傾ぎの表情も豊かです。

クリスタルリー・クリシー、推定1870〜90年頃成形。
オワーズ川近郊の村「コンピエーニュ」のモデル名を翳した涼やかで上品な一品です。

フィレとも呼ばれるフランスの伝統的な線状のグラヴュールがさりげないアクセントになっています。

1860年代には300人を超える従業員を擁し、生産数においてもバカラとサンルイに次ぐフランス第3の存在となりながら、19世紀後期の経営難や他社との統合、それに伴う公的なアーカイブの不運な喪失により、フランス国内においてすら存在を忘れられていた、当代屈指のクリスタルリー(=クリスタルガラス工房)・クリシー。

意匠や成形の質の高さは、バカラやサンルイに勝るとも劣りません。バカラはアバンギャルドで骨太、サンルイはコンサバティブで実直。プロダクト生産の全体感としては、それぞれにそんな印象を受けているのですが、前述もした「きめ細やかさ」や「繊細さ」は、クリシーに一日の長があると個人的に感じています。

紹介の個体は、工房の美質を存分に感じていただける素敵な一品だと思います。

サン=トゥアンの蚤の市で見つけました。
パリに隣接するクリシーの地域性もまさに感じながらの仕入れでした。

 

 

Crystal Glass (クリスタルガラス)

清らかな透明感、美しい輝き、高音の澄んだ音色。まるで天然の水晶のようなであることから、その呼び名で呼ばれるクリスタルガラスは、特に西洋では、装飾芸術としてガラスの価値を高めた存在です。

通常のソーダガラスより硬質で、溶解温度も低く抑えられるという特徴から、繊細なカットやグラヴィールをすることができますが、その成形には高度な知識や技術が必要です。

例えば歴史ある工房では、火を用いてクリスタルを吹く作業「ホットワーク」と、製品を研磨しカットや装飾を施す「コールドワーク」の、それぞれの工程に専門の職人がおり、フランスが世界に誇る著名なクリスタル工房バカラやサンルイは、同国の最優秀職人 M.O.F. (MEILLEUR OUVRIER DE FRANCE ) を多数輩出しています。

高品質なクリスタルガラス成型は、まさに伝統と技術の結晶です。

 


 

Lip φ5.1 / Stem φ5.1 × H9.3cm

スライド写真1枚目に写る2種のうち、小さな寸法の個体です。
ひと回大きな寸法の個体は右記リンクより。Click!

(ご売約済)

Related posts

テキストのコピーはできません。