Item / Pottery

Tasse de Normandie

 

19世紀末頃、ノルマンディー地方のシードル用タッス(マグ)です。

背面を酸化マンガンを含む釉薬により濃度を調整しながら飴色や漆黒に焼成させた、フランス北西部の伝統的な「キュノワール」は好事家にはよく知られているところですが、背面に青・黄・灰、等々のさまざまな釉薬をかけた色彩豊かな手が少ないながら存在していることは、あまり広くは知られていないかもしれません。もっとも実用的かつ釉の色彩が際立つ器だからか、知る限り、その多くがタッスです。

恐らく品揃えのバリエーションとして変わり種的に作られたものです。ヨーロッパでは英国主導で、18世紀末頃から釉薬調合の技術開発と発展が為され、それ迄はかなり限られていた陶器製造時に表現できる色の選択肢も、19世紀を通じて大幅に広がったとされます。この時期の英国でも造りが多いのは筒状の器です。推測ではありますが、そうした歴史的背景とも、一定程度関連して語ることができるように思います。

ラベンダーのようなやわらかな紫色。とても珍しい色合いですね。ぱっと見ての愛らしさに惹かれましたが、不思議と現代的な気配を感じます。整った空間に添えて違和を愉しむも素敵だと思います。

 


 

口径8.5 / 奥行11.5 / 高7.8cm

備考:
底面の釉が離れそうな1箇所を漆継ぎしております。スライドショー7枚目をご確認ください。

(ご売約済)

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