Item / Pottery

Tasse en Faience de Normandie

 

19世紀末〜20世紀初期頃、フランス西部ノルマンディー地方のファイアンス製カップです。

略語化されていてぱっと見では判読しづらいですが、器胎側面にサン・マロ湾上に浮かぶ小島「モン・サン・ミシェル」の文字が読みとれます。

18世紀末から19世紀半ばまで刑務所として転用され荒廃していた修道院は、文化遺産を守る機運が高まるなかで、1865年、ナポレオン3世治世期に、かの文豪ヴィクトル・ユゴーの働きかけもあり修道院として復元されます。以来、フランス有数の観光地として現代まで栄えてきました。

因みに修道院が今の姿になったのは、刑務所閉鎖後、数十年の修復を経た19世紀末頃です。

歴史的建造物として保護された初期の時代に当地の土産物として作られただろう器です。

施釉・色彩感覚にはフランスの他地域のファイアンスとは異なる、ノルマンディー(及びブルターニュ)固有のニュアンスがあります。柔らかな色絵はやさしく、滲みも歪みもある決して上手とは言えない稚拙な筆致ですが、そこに愛おしさを感じていただけるでしょうか。

同地方のちいさな村で開催された蚤の市でウブ出されたものを仕入れてきました。それもまた自分にとっては大切な要素です。たっぷりとしたゆとりある寸法。コーヒーや紅茶にミルクをたっぷり注ぎ、長閑な休暇を楽しんでいただきたいと思います。

 


 

約 口縁径9 / 奥行き12 / 高8.4cm

(ご売約済)

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