Curiosité / Item

Petit Coffret à Bijoux Normand

 

19世紀初期〜半ば頃、ノルマンディー地方の小さな色彩木箱です。

大きな寸法の作りがより広く知られ、それらはフランスの古物好事家たちに「コフレ・ド・マリアージュ」の俗称で呼ばれ親しまれています。その名の通り婚礼時に妻となる女性がリネンやハンカチ、リボン、首・頭飾りといった身の回り品を収めて嫁いだとされます。勿論、そうした機会も多かったはずですが、実際には土産物として求められたり旅用のトランクにされたり、より市井の人々に暮らしに根差した存在だったようです。

製造の中心地は古都ルーアン。街に複数存在した現代でいう大工・工務店の工房や会社に属する箱職人(コフレティエール/レイエティエール)により約150年間、繰り返し作られ続けてきました。1750年〜1890年頃までに約100人程の職人が存在したそうです。

紹介の品も、連綿と続いてきた土地の色彩箱製造史に連なる佳品です。製造年代は1800年代初期〜半ば。

とても小さな寸法は、前述のように主だった作りがより大きな寸法だったため一層見つけ難いです。

婚礼時に小間物を整理するためにメインの箱に加えられたこともあっただろうと思いますし、時計職人や金細工職人が自身が作る時計や宝石を収め納品するためにも用いられることもあったとされます。

彩度を抑えた紺青色に簡素な五弁花のスイレン。ノルマンディーの色彩木箱を象徴するスタイルです。作品はやがて商品へと変容しながら、手仕事で作り続けられた道具の健やかさが生む健やかさこそを変わらず内包しています。

そっと棚に飾り、日々眺めて愛でる。ただそれだけで心はきっと和らぎます。

 


 

約 幅10.9 / 奥行き6.6 / 高4cm

(ご売約済)

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