Item / Silverware

Christofle Pichet à lait vers 1900

 

20世紀初期頃、クリストフル社。蓋付きのミルク差しです。

曲線的な構成がアール・ヌーヴォー期のデザイン潮流を備えつつ、華美に寄らない上品な素朴さにはメゾンのセンスを感じます。

一言でクリストフルと言っても現代まで歴史が続いているなかで、20世紀初期まで遡る古手の作り。知る限りでは比較的短期間しか製造されていないモデルで、好きな意匠ですが久しぶりに手にできました。これまでも扱ってきたなかでも最小のサイズ。いわゆるエゴイスト(1人用ポット)よりもちいさなミルク差しです。

ミルク用でありながら蓋があるという作りの上質さ。クラシックなレストランで用いられたものでしょうか、あるいは由緒正しき館の食卓道具だったのかもしれません。

古い銀器ならではの使い込まれてやれた具体。底縁のちょっとした凹みも寧ろ愛らしく感じます。

 

Christofle (クリストフル)

1830年、フランスで宝石商シャルル・クリストフルが創業した銀細工工房。今日でも世界各国の一流ホテルやレストランで「卓上の芸術品」として広く愛用されている、銀食器の代名詞的存在です。

それまで貴族や有産階級に向けた純銀食器のみが生産されていたフランスで、1842年、英国からの特許を買い取るかたちでシルバープレート食器の製造を開始。台頭する市民社会における産業化の波の中、飛躍的な技術革新進と企業成長を遂げます。当時の治世者ルイ・フィリップやナポレオン3世への銀器の献上、万国博覧会への出展を経て、その名声は国際的なものへと広がっていきました。

1800年代半ば以降のフランスにはクリストフルから影響を受けるかたちで創業した銀細工工が多数ありますが、作りの良さはもちろんですが、何よりも絢爛さと実直さの見事に同居した瞬間、それはほかの銀細工工房の追従を許さない、白眉な存在になるなと感じています。

クープランでは優美な佇まいがありながらもモダンで、現代の住空間にも自然と溶け込むクリストフルを紹介しています。

 


 

約 底面径6.7 / 幅11 / 高10.7cm
約 容量150ml

備考:
注ぎ口内側に塗銀が剥がれている箇所(スライド写真9枚目)がございます。
ご注文の場合、事前にその点はご確認くださいませ。

(ご売約済)

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