Glassware
Bei jedem Schlucke denk’ ich dran, Ein Herze ist mir zugetan
一口飲むごとにその心が身を捧げてくれているように、私は思います
18世紀初頭頃からドイツ語圏(ドイツ、オーストリア、スイス、及び近郊)の森林地帯を中心に、格言入りのエナメル彩色グラスが郷土の工芸品として作られるようになりました。ブルジョワな服装で着飾った男性が生い茂った緑のうえに佇み、乾杯を祝うようにグラスを掲げています。当時親しまれたモチーフの1つで、男性を女性やカップルに、ブルジョワを農民にと、登場人物を変えさまざまなパターンが作られました。
エレガントな気配を湛えつつ、おおらかで長閑な印象を受けるのは、色絵による自然描写であることに加えて、どこか稚拙でやわらかなタッチがあってでしょう。
より古手の作りのグラスやボトルを扱ったこともありますが、今回の紹介は、土地の伝統を踏襲した19世紀の作りです。ちいさなビアグラス然とした佇まいと指馴染みのやさしさにすっと惹かれました。時代は少しくだりますが、そのおかげで器胎の腐食といった懸念点はありません。
なんとも心穏やかになる一品だと思います。
口縁径6.4 / 高9.1cm
Verre Soufflé à Pied 9.7cm
当時はパート・ド・フリュイやトリュフを盛り付けたのでしょう。愛らしいデセールから冷製アントレまで、絵になる器です。19世紀、フランス。ちいさな脚付きの吹きガラス鉢。
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Verre Soufflé à Pied 8.2cm
フランスらしいクラシックで瀟洒な佇まいは、透明な器胎だからこそ全体は華美に寄らず素朴さを湛えています。19世紀、フランス。ちいさな脚付きの吹きガラス鉢。
Petit Pot à Confiture de Belgique
ジャムやタプナードに黒オリーブ。食卓にちょこんと添えたら素敵だと思います。19世紀、ベルギー製の小さなコンフィチュールグラス。
Gobelet en Verre Torsadé
熱したガラス玉に型で筋を入れ吹きあげたツイスト装飾。すっと縦に伸びた小ぶりで高さのあるモールガラスコップです。1900年代前期、フランスより。
Compotier en verre soufflé
擦れや小傷もありながら、嫌な感じはなくむしろ魅力的に映るのは、灰味を帯びた色目と気泡や不純物の含有、器胎の厚みがあってこそで、そこに古物としての吹きガラスの魅力が詰まっているように思います。吹きガラス製コンポティエ。
Verre à Pied Soufflé vers 1800
1800年代初期頃、古手の葡萄酒器です。マニファクチュアによる職人仕事らしい実直で良質な成形感。当時の市民階級の在りようを閉じ込めたような姿形は古物としての奥行きが深く、その滋味にこそ個人的には心を打たれます。
18th century England Twist Stem Glass
不透明な白い糸ガラスを螺旋状に編んだ繊細なツイストステムの装飾性。築的で清清とした感性で仕上げた近代英国らしい作り。1760〜80年代頃、18世紀後期の英国製ワイングラスです。
Verre Bourguignon vers 1750
1700年代中葉、フランス中〜北部。古いガラス器の儚さを醸しつつ、宙吹き成形ゆえの僅かに傾いだ造形には、やわらかで長閑な印象も受けます。貴金属が含有したことによる仄かな灰みとボウル側面の気泡にも雰囲気があり、小さな器ですが、古い田舎工芸品の魅力がグッと詰まっています。