Glassware
Bei jedem Schlucke denk’ ich dran, Ein Herze ist mir zugetan
一口飲むごとにその心が身を捧げてくれているように、私は思います
18世紀初頭頃からドイツ語圏(ドイツ、オーストリア、スイス、及び周辺地域)の森林地帯を中心に、格言入りのエナメル彩色グラスが郷土の工芸品として作られるようになりました。ブルジョワな服装で着飾った男性が生い茂った緑のうえに佇み、乾杯を祝うようにグラスを掲げています。当時親しまれたモチーフの1つで、男性を女性やカップルに、ブルジョワを農民にと、登場人物を変えさまざまなパターンが作られました。
エレガントな気配を湛えつつ、おおらかで長閑な印象を受けるのは、色絵による自然描写であることに加えて、どこか稚拙でやわらかなタッチがあってでしょう。
より古手の作りのグラスやボトルを扱ったこともありますが、今回の紹介は、土地の伝統を踏襲した19世紀の作りです。ちいさなビアグラス然とした佇まいと指馴染みのやさしさにすっと惹かれました。時代は少しくだりますが、そのおかげで器胎の腐食といった懸念点はありません。
なんとも心穏やかになる一品だと思います。
口縁径6.4 / 高9.1cm
Baccarat Petit Verre à Pied
1950年代〜60年代頃のバカラより、フランスの伝統的なフラットカットデザインの解釈・再構築したモデル・タリランドの脚付グラス。20世紀後半のメゾンを象徴するような意匠の1つです。
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Verre pour Liqueur à fond Trompe l'œil
宙吹き成形のゆらぎや躯体の歪みに、手になじむしっとりとした重たさ。フランスの伝統に倣った七片のフラットリブが指に自然に掛かり、光を静かに返します。19世紀フランス、トロンプ・ルイユのガラス酒器。
Verre de Lustre
高い場所から吊るして灯りをとるに際して、輪にはめて固定できるよう意図された側面の突起構造が、今の目には装飾性として美しく写ります。18世紀後期〜19世紀初期頃、フランス。教会や修道院のキャンドル用ガラス器。
Verre à Liqueur vers 1900
フランスでは見たことのない造形ですが、スタイルとしてはドイツの蒸留酒、シュナップス用のグラスと近しいでしょうか。パリの蚤の市でカタチの珍しさにすぅっと惹かれて手にした吹きガラス酒器です。
Baccarat|Petit Verre Gobelet vers 1970
大胆なカッティングでありながら、同時に抑制が効いており、佇まいにはさり気ない上品さを感じます。現代の暮らしに生活道具として自然に溶け込む、穏当なラグジュアリー。モデル・タリランド。
Verre à Digestif en Cristal vers 1900
当時のバカラ社のカタログにも記載があることから古くからの製造事例を知っていましたが、初めて仕入れが叶いました。1900年代初期、オールドクリスタル製ディジェスティフ・グラス。
まっすぐでシンプルな筒形は意外と数が少ない器形で、その素朴で静かな佇まいに惹かれました。パリのアパルトマン近くの骨董屋で見つけたヴィンテージバカラのゴブレ。
Cives en Verre Soufflé
同心円状に走る細い筋と中心に切り離した際のポンテ痕が特徴的な偏平的な円形片。フランスで「シーヴ(Cive)」と呼ばれてきた窓用ガラス片です。