Curiosité / Item

Allmogefat, 1850-tal

 

19世紀中葉、スウェーデンの木皿、転じて木地盆です。

国土の大部分が松やトウヒといった森林に覆われており、古くから木工文化が盛んだったスウェーデン。特に農村部においては、英語のフォークアートとも語義が近しい「アルモゲ(Allmoge = 民衆、庶民、農民階級の意)の芸術」と現代では称されるような、実用を兼ねた装飾的な日用品が木工芸においても家内制手工業の延長で発展し、市井の人々のあいだで広く用いられてきました。

乾いた湿度とでも形容できるような、さらりとした手触りと指の温度を受け止めてくれる柔らかさ。白の気配を残した深みと、光を肌で受けとめ静かに返してくれる肌合い。経年による木の古色には殊に惹かれます。

リムを配した所謂木製の洋皿は、東西問わず好事家に知られているものですが、今回の紹介は、少し大きめな寸法の「木地盆」とも呼びたくなるより珍しい作りの一品です。

リム幅は狭め。見込みはフラットでひろく、まさに盆としても活躍しそうな作りですが、勿論当時は皿として使われたものです。見込みに刻まれた無数のナイフによる傷跡が、食卓で長く活躍してきたことを今に伝えてくれます。重点的に洗ったからこそ生まれた中心部の色褪せも雰囲気があり、全体のグラデーションがすてきな景色になっています。

食卓でサワードウブレッドを盛り付け、皿として活用いただくことは勿論、晩酌盆にもぴったりだと思います。

 


 

約 幅28.7 / 26.1 / 高さ3cm

(ご売約済)

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