Item / Silverware

EgoÏste En Argent Massif

 

 

1900年代初期頃、ミネルヴァ刻印のフランス製純銀器、純度はプルミエ(1er titre=銀950/1000)。小容量の設計からエゴイストともフランスでは呼ばれてきた一人用ポットです。

フランスの裕福な家庭には、18世紀後半から、一人用ポットとカップに、ミルク差しや砂糖器を添えて盆にのせ、朝の時間に私室・寝室で紅茶や珈琲を嗜むという習慣がありました。また旅の携行にも重宝され、19世紀後半には英国式のアフタヌーンティーの場でも親しまれたといいます。

個人のティータイムや一人来客の取り分け用である小さなポットから感じるのは、賑やかな社交性ではなく、私的空間の親密さや内向性です。

「エゴイスト=自分本位」という愛称も、めいめいが過ごすささやかな時間を、フランスらしく洒脱でアイロニカルに表現しているように思います。

洋梨型の胴にドーム蓋。注ぎ口に対してL字に伸びた黒檀製ハンドルは全体を引き締め、手元は熱を帯びません。撹拌棒付きのショコラ用ポットとしてより広く知られている印象的な器形で、紅茶や珈琲用も当時の定型でした。

控えめなエレガンスにすっと心惹かれました。

クラシックな気配を纏いつつ、華美に寄ることのない控えめな素朴さがあり、そういうことから穏当なノーブルたる知性を感じます。琴線に触れる銀製ポットは常々探していますが、ひとつの理想と思えたところです。

 


 

年代|1900年代初期頃
生産|フランス
材質|純銀

寸法|幅16 奥行7.5 高12cm
容量|約260ml20.5cm

(ご売約済)

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