Item / Pottery

Nans-sous-Sainte-Anne|Petit Plat Carré

 

半陶半磁、テール・ド・フェールの白釉角皿。

装飾を加えない面と余白だけの構成。シンプルで無駄のない、潔い造形に惹かれます。

こういうものは探すと意外に見つからないものですね。刻印から、作陶がフランス東部、スイス近郊のナン=ス=サンタンヌの製陶所と判り頷きました。この地域周辺の窯では、装飾的なレリーフを配さない、簡素な作域もしばしば見られます。それが美意識によるものなのか、地方窯業ならではの石膏型の簡略化によるものなのかは定かではありませんが、現代の目線では、その簡略さがむしろ心地よく映ります。

四角い見込みにわずかに立ち上がる端正なリム、半陶半磁らしい柔らかな白に、仄かな貫入。均質すぎず、かといって素朴にも寄りすぎません。サイズも小さめで、前菜や焼き菓子、果物などを盛るのにも使いやすい大きさだと思います。料理の輪郭をすっと整えてくれるような一枚です。

 

Terre de fer (テールドフェール)

技術的・技法的というよりは、商用的な言葉としての側面のほうが強いため語義は多岐にわたり、厳密な定義付けをすることは難しいですが、1800年代初期までの繊細なファイアンスフィーヌ陶器の少量生産を経て、1800年代半ば以降に台頭する市民社会に向けて量産されるようになった、より実用的で磁器質の強い陶器(半陶半磁器)のことを指してフランス語では「テールドフェール」と呼びます。

それ以前の陶器に比べると、主原料である粘土に磁器生産に使われるカオリンや長石がより多く加えられ、釉薬はホウ砂が主原料となっています。

生産者の手跡が残る不均一な施釉や石膏型の寸法差異、或いは経年による貫入。そうした古い陶器ならではの不安定さと、ある程度量産化が整備された時代の陶器ならではの実直さの双方が同居した、過渡期的な均衡は、今の暮らしに溶け込んだときに、無理のない心地よさを生んでくれるように思います。

クレイユエモントロー、ショワジールロワ、ジアン、サルグミンヌ等々。当時のフランスにおける陶器製造の中心にいた様々な陶磁器窯で、多様なテールドフェール陶器が作られました。

 


 

年代|1900前後
生産|フランス東部
窯 |ナン=ス=サンタンヌ製陶所
寸法|径22.5 / 22.7 / 高2cm

(ご売約済)

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