18世紀半ば頃、フランス北部より。
皿全体を花弁として図案的に捉えつつ、隙間を埋めるかのように細やかに添えられた草花模様。
中国の芙蓉手を発展させただろう、とても緻密な構成の良い絵ですが、筆致はお世辞にも上手いとは言えないものです。職人的反復が生んだ技術力でさらりと描きあげたというよりは、完成図を想定しながら地味に地道に積み上げていったというような趣きがあります。
描き手固有の作品なのか、或いは参考となる作例があったのかまでは判然としませんが、何れにしても、自然な身体性を伴ったものではないように思います。ですが技術的には拙くても、神経質であることがどうしてもやめられなかった、そういう気質があって結果できあがったようなものには、その過程も思いながら、人間の愛おしさを感じてしまいます。
口縁は削げ、見込みに貫入が走り、陶胎もかなり脆くなっていましたが、捨ておけませんでした。