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Curiosité / Items

18-19 Century Windsor Chair

 

 

地方の地主階級民の生活家具として生まれた初期の時代(17世紀後半)を経て、中流階級の一般家庭、旅館やオフィスへと使用が拡大、浸透していった18世紀後期から19世紀初期頃の一品。美しいウィンザーチェアです。

背枠と肘掛けが弓(ボウ)のカタチをしていることからダブルボウバックとも呼ばれる意匠は、当時広く支持されたウィンザーチェアのスタイルです。

旋盤された丸棒、曲木によるボウ、身体に添う丸みを帯びた座面の加工も。各部位の宿る職人の専門性。ボウ部分の曲木が真ん中で継がれていますが、継ぎなしで仕上げられなかったのは、当時の工房の技術故でしょうか。ですが寧ろそこにこそ、プリミティブな魅力を感じます。

産業革命を経て工業化、分業体制化が進んでいく時代のさなか。ウィンザーチェアは近代的合理主義の象徴とも呼べる存在ですが、古い時代の作りには、機械による大量生産へと移行した後世のそれとは異なる、明瞭たる「人」の気配があります。

座面はエルム、曲木部分はおそらくアッシュ材。ロンドン郊外、生産地近郊の森林地帯でとれる木材ですね。ウィンザーチェアは加工方法(挽物、曲木等)と見栄えを踏まえて、各部位毎に異なる木材が採択されることが多いです。また200年近くを経た天然木の古色は、何よりの美質。

近代椅子の源流を辿り行き着く、英国文化の芳醇さ、奥深さ。

腰掛け本を読む。そんな日常を特別なものに。

(ご売約済)

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