Diary

ヨーロッパ旅日記 2025.03.08

夜の便でフランスからイタリアへ。

欧州国内線とはいえ、念のため出発2時間前の空港到着を目指して。もっと間際の行動をしたこともあるなか比較的優秀です。パリからCDG空港までは所要時間1時間15分。ゆとりを持って3時間半前にアパルトマンを発ち乗換案内を調べます。

ところが、夜間工事中に第二次世界大戦の不発弾が見つかったという不測の事態で、パリ北駅からの空港行きを含む、全てのRER、TGV、ユーロスターが朝から運休しているとのこと。

後に調べたら日本でもニュースになっていたようですね。確認が漏れていたのは迂闊でした。

ここは切り替えがたいせつです。

近くに空港行きのロワシーバスの停留所があることを思いだし時刻表を確認。かけ足で向かい直近のバスに乗りこめば、それでもゆとりがありそうです。

乗り場到着。ちょうどバスがきています。

けれど、あれ?

この列はどこまで続いているのだろう。バス停には長蛇の列。バス3、4台分くらいの人、人、人。同じ境遇のツーリストがあつまり、誰もが困惑しているように見えました。

切り替えがたいせつです。

誰かタクシーを相乗りしませんか!ひと声。

2人の女性にすぐに呼応してもらい、日本人、ノルウェー人、スウェーデン人の3人組となり自分がアプリで配車。この時点でフライトまであと3時間と少し。

帰宅ラッシュに巻き込まれて2時間掛かったことがありますが、今はまだ15時で、パリ市内に混雑が多少あったとて、荷物の預け入れの締め切りを30分前と見積もっても経験的にはもう大丈夫です。

はい。

さて。

間に合いませんでした。

線路内で見つかったと思っていた不発弾ですが、実際にはパリ郊外サン・ドニの建築現場で見つかったそうで、電車の運休に留まらず環状線にも通行止めがあったことはタクシー社内で調べてから知ったのですが、小さなパリ市内には想像を超えるカオスがもたらされていて、混雑は多少どころではありませんでした。

2時間かけてオペラ座からクリニャンクールの手前(約3キロ地点)までしか進まず、帰宅ラッシュの時間も差し迫り、どう考えてもても約2キロ先のペリフェリック(環状道路)入口にたどり着いて、そこからさらに空港に向かうとなると時間は足りなそう。空港からパリに戻るも一苦労と想像しての決断でした。

乗客3人のうち、自分のフライトがもっとも早めの時間。2人の女性の無事の飛行機搭乗を祈りつつ、先に諦めてタクシーを降りました。

その30分後、配車アプリの通知は、乗客をクリニャンクールで下ろしアクティビティを終えたことを伝えてきました。

連絡先も知らない彼女たちに労いの言葉をかける手段はなく、スマートフォンに表示されたアプリの事務的な通知だけで事態を推し図るというのはあまりにシュールです。

ここまで書いてはたと気づきます。

パリ北部郊外、サンドニ周辺の交通が麻痺していたなら、メトロでひとまずパリ西部郊外の駅に出て、そこからタクシーで北上したら、あるいは空港(パリ北西部)に間に合ったのかもしれません。いや、どうだったでしょう。

とはいえナビは初めから3時間越えの所要時間を示していたわけではなく、間に合うだろうという安堵で始まり、小量飲み続けてやがて致死量に達する毒薬のように、じりじりと表示時刻が後ろ倒しになっていくのを横目にニュースの確認をしていた車内にあって、妙案が思い浮かぶには至らず。

優秀なAIにとっても不測の事態で、正確な対処ができなかったのでしょう。

次回以降の旅への戒めができましたし、これはきっと歳を重ねて振り返ったときにはささやかで豊かなエピソードですね。

つかの間の時間を共有した2人の北欧出身女性。バス停に溢れかえっていた人々。この日、飛行機に乗り損ねた人は少なくなかったでしょうし、長距離電車運休による影響は勿論それ以上にきっと広範。それぞれがほんの少しでも平穏でありますと思いながら、パリの夜で眠りにつきました。

切り替えがたいせつです。

翌朝一の便で無事イタリアに着きました。

ミラノのリナーテ空港からタクシーで中央駅に最短で移動。よし、乗りたかった理想の電車にスムーズにも乗れそうです。

伝言板を確認。発車時間になっても入線ホームは表示されません。機材トラブルで60分遅延。そして今日は別件で旧国鉄グループのストライキですって。

とこれくらいに。

なんだかんだと困難は無事に乗り切りました。

元々詰まっていた時間配分はさらにコンパクトなものになってしまいましたが、決めていなかった宿やレストランで心満たせれば良いし、予定や訪問する土地も組み換えつつ、ぎゅっと凝縮して過ごしているのが今です。さっそくの仕入れはすばらしいものを手にすることができました。旅は人生の縮図。だから大丈夫。

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