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フォルジュレゾー、ノルマンディーのファイアンスフィーヌ

 

フォルジュレゾー。現存個体が元より少数、かつ作陶品の多くが無刻印で窯特定も困難なことから、日本ではまだあまり名前を知られていないのですが、19世紀初期に、良質なファイアンスフィーヌを作陶した陶器窯です。

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1797年、窯は1人の英国人によって開かれました。ジョルジュ・ウッド。シャンティイやクレイユの製陶ディレクターを務めた記録も残っている人物です。シャンティイ、クレイユ両窯の経営陣にも英国人が携わっていましたが、この時代のフランス工芸に影響を与えた英国人の強いネットワークが感じられます。

そしてフォルジュレゾーのファイアンスフィーヌの美質は、まさに英国のウェッジウッドやスタッフォードシャーのクリームウェアのニュアンスを、他の窯々と比較しても強く踏襲しつつ、その上で独自に昇華が為された象牙色の美しいマチエールだと思っています。品があり健やかで、それでいてどこか儚げな印象を受けます。

またクレイユ等に比べるとパリから離れた、ノルマンディーという土地の気候風土がそうさせたのでしょうか。都会的というよりは、牧歌を感じる民衆芸術的(アールポピュレール)な絵付けを施した個体が多いのが特徴です。描きすぎと感じて個人的に選べとれないこともあるのですが、だからこそ、マチエールとデコレーションの拮抗と同居に心地よさを感じれたときは、一層嬉しいし、固有でいて稀な佇まいに惚れ惚れとします。

端正で優しいファイアンスフィーヌ。19世紀初期。

 

※写真の品は完売しました。

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