Old European Cutlery

15-16th Century Mini Iron Knife

 

年代|15〜16世紀頃(推定)
生産|ヨーロッパ大陸西部
素材|鍛鉄
寸法|11.8cm

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掌に収まる小さな一挺のナイフ。

腐食により黒く沈んだ鍛鉄の肌合いはどこか影のようで、なんとなしに眺めたときに見える輪郭線に、中世末期から近世初頭における美意識の粋を感じます。

刃先はわずかに欠損。柄の先端には、注視すると1~2ミリほどの金色の残滓が確認できます。恐らくラテン(真鍮)による金線象嵌、あるいは部分鍍金の痕跡です。当時の持ち主にとって、ささやかな宝物で、常に携行したあつらえもののナイフだったのかもしれません。ペンナイフのような役割で、羽根ペンの整形をしたり、糸や果物を切る軽作業に用いたのでしょうか。在りし日の姿を空想してみてください。

小ささは密度として作用します。掌の上にのる数センチの範囲に、鍛鉄の肌、造形のリズム、金の名残、摩耗の丸みが凝縮されており、控えめでいて視線を留める魅力をまとっています。

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