年代|13世紀頃
地域|イングランド
素材|鉄/黄銅
寸法|17.8cm
ナイフだったから、きっと数あるなかから気づくことができ、時代があるからこそ、奥行きを捉えることができたのだと思います。けれどそんなことを傍に置いてでも惹かれてしまう何かが確かにあるようには感じていて、ただなんとなしに今に残るカタチとマチエールを愛でながら、ゆっくりと踏み込んで、内観と外観の接続について考えます。
南イングランドの、ロンドンの歴史が詰まったテムズ川で数百年のあいだ眠っていた13世紀、中世ナイフの残欠です。
本来は木や骨製の柄がついていました。残っているリング状の突起装飾部を眺めていたら、不意に残欠が複十字のように見えてきてハッとさせられます。偶然の産物と判りながら、十字軍が現実だった時代、従軍したロレーヌ公が旗に描いたことで、それがロレーヌ十字とも呼ばれるようになった史実に想いを馳せます。
参考|Click!
絵図は、H. R. Robinson『Knives and Scabbards』(1975)からの抜粋。
