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演奏: シャヴィエル・ディアス=ラトレ (バロック・リュート)
17世紀世紀末〜18世紀半ば頃、バロック後期のドイツ音楽。
柔らかな響きの撥弦楽器リュート1本で奏でられる、短調を基調にどこか哀愁も帯びた 夏の雨の日に、しめやかに室内で読書をしながら聴きたくなるようなアルバムです。
クラシック音楽に馴染みがなくても、バッハの無伴奏チェロ組曲は聴いたことがあるかもしれません。その中から組曲第5番をバッハ自身が編曲したリュートのための小品集 ト短調 BWV 995、そのほか演奏者のシャヴィエル・ディアス=ラトレ自身が編曲をした同バッハの別楽曲や、バロック後期のドイツ語圏作曲家の小品が収録されています。
作曲家や時代背景についての日本語解説付きです。
バロック期の音楽の編曲について
ヨーロッパの古い音楽のなかでも、自然と現代日本人の耳に馴染む聴き心地の良さがあるリュート独奏曲。couperinで古楽を紹介するときに最初にお勧めすることも多く、少しづつ品揃えにも変化を加えていきたいなと思っています。
こちらのアルバムに収められている楽曲は、バッハ自身により編曲されたリュートも含めて、全てがヴァイオリン、チェロ、あるいは笛のために作曲された曲からの編曲品。
ありそうでない魅力的なコンセプトのアルバムです。
ですが編曲とお伝えするのは少し憚られるところもあります。バロック期の音楽というのは、弾ける楽器であれば何を使ってもよく、音楽性が豊かなものになれば、使われる楽器については誰も気に留めませんでした。
例えば前述したバッハの作品には、特に楽器の指定が無い場合も多く、同じくアルバムにも収録されたテレマンは、18世紀当時、ドイツ語圏とその近隣で絶大な人気を誇った作曲家ですが、現存しているテレマン自身のリュート作品は1曲しか知られていません。それでも当時の人気作曲家を “弾きたい” と考えたリュート演奏家が数多くいたのでしょう。当該の1曲以外にも、リュートで弾けるように「編曲」された楽譜はいくつも残されています。
ともすると聴き難いとされることも多いバロック期の音楽ですが、当時代の演奏慣習を踏まえたうえで自由な発想から生まれたアルバムは、リュートならではの柔らかな響きを得て、とても聴き心地優しいものになっています。
穏やかな緊張感を。 暮らしの背景音楽にもぴったりな、専門家でない方にもお勧めしたくなる軽やかな1枚です。
参考: Koen Uvin, 白沢達夫 訳 “Stolen Roses” Passacaille, 2017
シャヴィエル・ディアス=ラトレ (Xavier Díaz-Latorre)
スペイン、カタルーニャ地方出身の、現代の古楽界を代表するリュート&バロックギター奏者の1人です。古楽教育の一大拠点バーゼル・スコラ・カントルムで古楽撥弦楽器の研鑽を重ね、演奏活動としては同じカタルーニャの世界的ヴィアラ・ダ・ガンバ奏者=指揮者ジョルディ・サヴァールの各種アンサンブル (エスペリオンXXIやコンセール・デ・ナシオン、カペリャ・レアル・デ・カタルーニャなど) で通奏低音パート (バロック音楽の伴奏形態) を支える名手として活躍。近年ではソロ録音も目立っています。
01. パッサカーリャ ト短調 ~『ロザリオのソナタ集』より / ハインリヒ・ビーバー(1644 – 1704)
リュートのための小品集 ト短調 BWV 995 / ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685 – 1750) (無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV1011による) 02. プレリュード 03. アルマンド 04. クラント 05. サラバンド 06. ガヴォット
07. ジグ
08. ファンタジア 第1番 変ロ長調 TWV 40:14 / ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681 – 1767) (『無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア』より)
組曲 イ短調 / ヨハン・パウル・フォン・ヴェストホフ(1656 – 1705) (『無伴奏ヴァイオリンのための六つの組曲』より) 09. アルマンド 10. クラント
11. サラバンド 12. ジグ
13. チャコーナ (シャコンヌ) / ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685 – 1750) (無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 より)
14. ファンタジア ハ短調 / シルヴィウス・レーオポルト・ヴァイス(1687 – 1750)
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