ヴィア・フォンダッツァ、モランディのアトリエ 2025.03
流れ着いたものや、打ち捨てられたもの、発掘されたさまざまから歴史の在りようや変化を探り出す、セーヌ川とそこに関わった人々との相互作用に焦点があてられた「Dans la Seine」を観に、シテ島の地下遺跡跡、クリプト・パリへ。 規模は比較的ちいさなものでしたが「そこに確かに誰かがいた」という痕跡の濃さがあり、西洋が歩んできた時間軸を縦に横にと一層深く緻密に捉えられるよう精進していこうと感じられたところです。 人類が最初に定住した頃から、まだこの場所がパリではなくルテティアと呼ばれていた時期を経て、中世、近世のパリ。及び近郊や源流のブルゴーニュ地方まで。静かでひんやりとした地下遺跡は、地上の喧騒とのコントラストもあって、パリ以前という時代をしめやかに伝えていました。
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ヨーロッパ旅日記 2025.03.08
夜の便でフランスからイタリアへ。 欧州国内線とはいえ、念のため出発2時間前の空港到着を目指して。もっと間際の行動をしたこともあるなか比較的優秀です。パリからCDG空港までは所要時間1時間15分。ゆとりを持って3時間半前にアパルトマンを発ち乗換案内を調べます。 ところが、夜間工事中に第二次世界大戦の不発弾が見つかったという不測の事態で、パリ北駅からの空港行きを含む、全てのRER、TGV、ユーロスターが朝から運休しているとのこと。
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ヨーロッパ旅日記 2024.11.25
アンコール。照明は弱まり、柔和な光のなかから浮かびあがり聴こえてくるブラームス、イ長調のインテルメッツォ。 死があるから生は鮮やかで、歳を重ねたときに、こうした時間を振り返れるのはきっと良い人生です。ふと彼が書いた一節を思い出し、終演後のメトロのなかでスマートフォンに書き残していたメモを読み返しました。 「はじめに静寂があり、静寂から音楽が生まれます。そして、音響と構造からなる実にさまざまな現在進行形の奇跡が起こります。その後、ふたたび静寂が戻ってきます。つまり、音楽は静寂を前提としているのです。」 パリ公演に訪れたブダペスト祝祭管弦楽団によるブラームス・プロ。ピアノコンチェルトのソロはアンドラーシュ・シフ。
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ヨーロッパ旅日記 2024.11.19
フランス、パリを夜明けごろに発ち、泊まりがけの遠征。 ユーロスターの固い座席に身体を埋めて疲労でうつらうつらしていると、すでにベルギーを通過していて、走る列車の色使いの変化でオランダへ入国したことに気づきます。
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ヨーロッパ旅日記 2024.11.17
フランス、パリを夜明けごろに発ち、泊まりがけの遠征。 ユーロスターの固い座席に身体を埋めて疲労でうつらうつらしていると、すでにベルギーを通過していて、走る列車の色使いの変化でオランダへ入国したことに気づきます。
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ヨーロッパ旅日記 2024.11.15
フランス、パリを夜明けごろに発ち、泊まりがけの遠征。 ユーロスターの固い座席に身体を埋めて疲労でうつらうつらしていると、すでにベルギーを通過していて、走る列車の色使いの変化でオランダへ入国したことに気づきます。
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ヨーロッパ旅日記 2024.11.12
人の身体や洗剤や香水がラタトゥイユみたいにして混じり合った匂いにつんと鼻腔を刺激され、またヨーロッパへ戻ってきたことを実感します。 身体に堪えるひんやりとした空気は、けれどまだ完全に張りつめてはいません。乾いていてもしとやかな秋の名残りを感じながら、いつもと同じでいつだって新しい古物を探す旅が始まりました。
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ヨーロッパ旅日記 2023.02.28
アンドラーシュ・シフによる日曜日のマチネ。ピアノを介した作曲家と演奏家の対話に、そっと耳を傾ける。 テクニックのすばらしさ(数多のピアニストと比べてもすぎるくらいの)は、ともすると単調さや味気のなさにだって陥りそうなものを、数十年かけて同じ作曲家と向き合い続けてきた彼が、若い頃からもち得ていたある種の職人(技術者)として質の高さは、安易な言い方だけれど「一周まわって」、芸術家としての現在の彼の音楽にただよう老練な円熟みと混じり合い、今ではごく自然な瑞々しい気品として立ち上がっているように感じて、それがなんとも心地よかった。殊にハイドンがもつ瀟洒な茶目っ気は、彼の知性とも相性が良かったのかしら。
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クリプト・パリ「セーヌの河中から」
流れ着いたものや、打ち捨てられたもの、発掘されたさまざまから歴史の在りようや変化を探り出す、セーヌ川とそこに関わった人々との相互作用に焦点があてられた「Dans la Seine」を観に、シテ島の地下遺跡跡、クリプト・パリへ。 規模は比較的ちいさなものでしたが「そこに確かに誰かがいた」という痕跡の濃さがあり、西洋が歩んできた時間軸を縦に横にと一層深く緻密に捉えられるよう精進していこうと感じられたところです。 人類が最初に定住した頃から、まだこの場所がパリではなくルテティアと呼ばれていた時期を経て、中世、近世のパリ。及び近郊や源流のブルゴーニュ地方まで。静かでひんやりとした地下遺跡は、地上の喧騒とのコントラストもあって、パリ以前という時代をしめやかに伝えていました。
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ヨーロッパ旅日記 2024.02.12
アカデミーフランセーズの会合にしょっちゅう不在(Absence)、つまりいつもアブサン(Absinthe)ぎみだったから、彼の文学的野心は頓挫したのだ。そんなふうに評されたのは、詩人アルフレッド・ド・ミュッセだったか。 南フランスでの仕入れがひと段落して久しぶりに訪れたホテルのサロンで、ベルモットとベネディクティンを基に、アブサンの香りを添えた、オーナーである氏へのオマージュとして作られたというカクテル『L’absence』をお願いし、そんなエピソードをふと思い出す。
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クストディア財団「ヤコブス・フレル」展
パリ7区、クストディア財団による、17世紀、黄金時代のオランダ人画家ヤコブス フレル(1654~1662 年頃に活動)に焦点をあてた絵画展へ。個人的にはここ最近で1番に心身に沁みた展示で、最終日前日から2日間、駆け込みで立て続けに訪れてしまいました。 約45点程という判明している現存作品より22点。1人の画家の静かでやさしい眼差し。何より室内構成は精妙でした。数部屋に仕切られた天高のちいさな展示室には、各々が均衡を保ちながら自然なリズムで飾られており、パリの喧騒を感じない節度ある観覧客のさざ波に揺られて、緻密な展示順や間合いのおかげもあり、それぞれの作品と心地よく向き合えました。
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ヨーロッパ旅日記 2023.02.20
静かな冬のプロヴァンス。骨董商で人生の先輩で友人でもある、そんな大切な彼女の店で古布にまみれて、へくしゅってしたら「また始まったね」と笑われた。「掃除機をかけたときに、君のことを思い出したよ」だなんて。僕がいないとき頭のなかでまた噂話してもらえるのなら、今のうちに沢山くしゃみの前払いをしておくよ。 (夜、布団に入るまでとまらなかった。)
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ヨーロッパ旅日記 2023.02.14
200歳を越える古いパリの二つ星ホテル。予約はウェブサイト経由ではできず、電話やメールで依頼する。オーナーが変わったのか、スタッフが一新され、近頃は前金を求めれるようになった、求められないこともある。徹底なんてしていない。
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ヨーロッパ旅日記 2022.06.22
パリを経ってから数時間、目的の観光保養地も間もなくだ。乗客の多くは幾つかあった途中駅ですでに降り、満員だった車内には3、4人が残るのみ。当初は快適だった冷房の効きが気になり上着を羽織ってから、もう随分と経っている。
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ヨーロッパ旅日記 2021.11.18
仕入れの合間に再読したサガン。 男女問わず、彼ら皆があり得たかもしれない自分で、あり得るかもしれない自分だ。渇いた文体が不意に湿り気を帯びる一瞬一瞬にどきりとし、気づけばページの角隅を何箇所も折り曲げている。交わり続けることのない思慕に共感や共犯(なれあい)がゆるやかと絡み合う。
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ヨーロッパ旅日記 2021.11.15
仕入れ仕事を終えた後、つかの間の夕刻、あてもなくローヌ川沿いの小さな村を散策する道すがらで目に留まった、趣味が良さそうなレストランの窓壁に貼られた「ショパンとプルースト」なる掲題のチラシ。
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