フランスを主としたヨーロッパの古物を紹介しています。
価値観も理念も異なる国や時代に触れる。
長い時を経てきた古物は昔を知る頼りになり
そうして知った昔が、今をほんのすこし豊かなものにしてくれる。
奥深い文化への興味と、日々日常の暮らしを行来しながら
しなやかに気持ちよく古物と付きあっていけたらと思います。
Assiette en Faience de Moustiers/Varages
端正かつエレガント。貴族文化の名残りを確かに残しつつ、土地の気候風土の影響が混じり合うことで醸成されたニュアンスは、この時代の以前にも以後にもないように思います。19世紀初期頃、ムスティエ・ヴァラージュより、輪花皿。
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Tasse de Cul Noir
黒というよりは小豆色のやわらかな表情に惹かれます。フランス北西部の伝統的な日用雑器「キュノワール」より、シードルを嗜むのに好んで用いられたとされるタッス。19世紀末頃。
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17th Century Fragment of Majolica
デルフト産の陶器が趨勢を極めヨーロッパ中を席巻し「デルフト焼き」としての名と存在を確率する前時代に、オランダ各地で焼かれていたルネサンス期イタリア由来の陶器、マジョリカ焼き。17世紀の出土陶片。
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18th Century Enamel Glass Bottle
小ささゆえに色彩が外ではなく内に向かっていくような密度が感じられて、宝石とも呼びたくなるような趣があります。18世紀の祝祭用酒瓶です。
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Wedgwood Square Plate
低音焼成による軽やかな器胎と、時の王妃シャーロットにも愛されたクイーンズウェアの名でも知られるほのかな象牙の優しい肌合い。19世紀半ば、ウェッジウッドの変形角皿。
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Creil et Montereau Pletit Plat Creuse
大きすぎない寸法とわずかな深さ。リム幅は狭めでゆとりをとった見込み。定番とも呼べる白釉の半陶半磁器ですが、ちょっと珍しい設計の妙になんとも惹かれた1枚です。19世紀末頃、クレイユ・エ・モントロー社のリム深皿。
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17〜18世紀、マヨリカ陶器
北イタリア、17〜18世紀のマヨリカ陶器より。 西洋における錫釉陶器製造の祖として知られるイタリアのルネサンス期以来の調和と均整がとれた造形。それに相反するような、時代が下るなかで窯業が世俗化したことに起因するだろう、おおらかで牧歌的な施釉と絵付け。この時期の北イタリア陶器の緊張と緩和の自然なバランス感覚には、心惹かれるところです。
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神経質な錫釉藍絵皿
皿全体を花弁として図案的に捉えつつ、隙間を埋めるかのように細やかに添えられた草花模様。 中国の芙蓉手を発展させただろう、とても緻密な構成の良い絵ですが、筆致はお世辞にも上手いとは言えないものです。職人的反復が生んだ技術力でさらりと描きあげたというよりは、完成図を想定しながら地味に地道に積み上げていったというような趣きがあります。
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近世西洋、青の陶器
白の錫釉陶器と存在を対にするようにして、ヨーロッパ大陸の一部地域や窯において青の陶器が作られました。 16世紀、イタリア半島のマヨリカ焼きに端を発し、ペルシアから輸入された酸化コバルトを主たる顔料にして、同地域のラピスラズリを思わせる濃青色の陶器、或いはシリアやエジプトの中東ガラスを憧憬しながら、各国・地域で独自に発展と変容をしたとされます。東洋の影響が色濃い白錫釉の器々とは異なるニュアンスを纏った古陶です。
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中世後期、高品位なワインの嗜み
中世後期、1350〜1500年頃のライン炻器より、貴族や聖職者といった当時の上流階級の家庭でワインを嗜むのに用いたとされる、とても珍しい小さな平型の深鉢です。 ドイツ西部、ライン地方窯業の中心地であった街ジークブルクで作られただろうもので、納品地のオランダにて発掘されました。かのピーテル・ブリューゲルが農民たちの傍らに大量に描いたライン炻器群を見ても判るとおり、近代に至るまで、ヨーロッパにおいて民衆用の酒器は大ぶりな作りであることが常でした。まさに彼が題材としたように、日夜踊りながら、呑み愉しんでいたことでしょう。
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18〜19世紀、ムスティエ、及びヴァラージュ焼の歩み
フランス南東部プロヴァンス、コートダジュール内陸の山岳地帯に位置するちいさな村ムスティエ=サント=マリー(以下ムスティエ)で代々陶器製造を営んできたクレリシー家の家内制手工業の拡張に端を発し、同地近郊は、18〜19世紀と通じてのプロヴァンス地域、ひいてはフランスにおける近代ファイアンス産業の中心地の1つとなりました。
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ささやかな個人美術とプリミティブ
脚や取っ手のない筒状の縦型グラス器、所謂現代のタンブラーは、フランスでは、飲み込む、丸飲みすることをを意味する「Gober」が語源とした「ゴブレ」の名称で、古くから日常食器として用いられてきました。時代や地域、そして身分・階層によって銀、ピューター、木、ガラスと素材もさまざまです。
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マリー・アンヌ・モランのための...
1700年代のフランスより、純銀製洗礼杯。 こうした杯は、幼児洗礼に際して、生まれた子の名前やイニシャルを刻み、主には実父母ではなく洗礼父(パラン Parrain)から贈られた記念の品です。
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19世紀、南フランスの黄釉雑器
北方のカンタルやサヴォワ地方にも似た手の造りが見られますが、絵付けの筆触と彩度や背面の処理から、南フランス、ガール県近郊、恐らくはサン=カンタン=ラ=ポトリ及び周辺で作陶されたもの。
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