Item Note

北イタリア、ガラス製アルバレロ

 

トスカーナの骨董屋で譲ってもらいました。

1700年前後頃、北イタリアで作られた小さなガラス製アルバレロ(薬壺)。淡く薄緑掛かった色目に、非常に軽くて薄い胎。ヨーロッパ大陸におけるローカルな森林ガラスの系譜に連なる器です。

こうしたアルバレロは、錫釉陶器が一般的です。光を通すガラス器は、乾燥薬や粉、練り物類の保存に向かないため数が少ないですが、類例を幾度か見かけたことがあり存在は知っていました。

精緻な造形にニュアンスを含む佇まい。抑制の効いたノーブルに心惹かれます。当時の中部〜北イタリアにおいて、ガラス職人が、所謂ヴェネツィア様式のガラス食器に留まらず、薬学用途の道具類も作ったという記述が、手元の資料では確認できます。何よりこうしたアルバレロは、修道院(カトリック教会)との関わりが深い薬局において主だって用いられたものであることからも、一定格式ある器だった筈です。

並べて置いたときに指を隙間に差し込めるように意図したくびれた胴と、羊皮紙や布を張って紐で縛るための口縁の張り出し構造。あくまで道具としての実用面から生まれ、既に慣例となっていたアルバレロの器形ですが、日用道具であることをひょいっと飛び越えて、生き物にも通ずるしなやかさを感じるときがあります。

自然で作為のない造形意識には惹きつけられました。

 


 

年代|1700年頃
生産|イタリア北部
寸法|径7 高10cm

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