17世紀、ブルターニュ地方の作りと伝え聞く家具片です。材はオーク。
深い黒褐色に沈んだ艶と、緻密な彫刻による陰影の層。欠けや角の崩れまでが物語となって、辿ってきた環境や長い時間の堆積を見る者に伝えてくれます。
意匠の中心はクロワ・サンタンドレ(聖アンドレの十字)を想起させる大きく交差するX字。全体の構図に緊張感がありながら、周囲を流れる編み紐のような細い線描は、軽やかな遊び心にも感じられます。向きを変えて、六箇所に左右対称に置かれた三日月のようなモチーフは、巻き葉か渦巻きでしょうか。図柄としてのリズムを生む、印象的で心地よいアクセントになっています。
元々は古いアルモワール(戸棚)の扉板、或いはコフレ(箱)の前板だっただろうものです。
日本とは異なるヨーロッパの装飾感覚と、向き合い続けていたいと思います。取り入れた先で、見たことのなかった世界が見えたり、作れたりする未来を夢想しながら。
年代|17世紀
生産|フランス
地域|ブルターニュ地方
寸法|幅31 高45cm
