Item Note

初期ジノリ、ドッチァ窯の藍絵磁器

 

初期ジノリ、ドッチァ窯の藍絵カップ&ソーサー。1770年頃。

ドイツのマイセン、イギリスのウースターやリバプール、フランスのサンクルーやシャンティイ。18世紀、ヨーロッパ各地の新興窯が中国磁器への憧憬をそれぞれの感性で昇華し、白地に藍の美を競い合ったことは知られています。イタリアにも同様の潮流はあり、その代表的な存在がトスカーナ地方、フィレンツェ近郊のドッチァにカルロ・ジノリ侯爵が開窯した工房でした。

イタリアの誇るマニュファクチュア制工芸として、国内評価が高く、訪問を重ねる程に扱いたい気持ちも募っていたのですが、今回、初期から中期へ——軟質から硬質へと歩みを進める過渡期にあたる作品を、まさにトスカーナ地方の骨董屋で譲ってもらうことができました。

描きすぎない図案の解釈には品があり、灰みを含んだ淡いコバルトの色調にも惹かれます。それが意図的な美意識の選択なのか、あるいは当時の材料や焼成条件の揺らぎによるものなのかは判然としませんが、華美に依らない、古作りの古伊万里を思わせる柔らかさがあります。造形にはノーブルな気配を湛えつつ、どこか素朴さが残る、他のヨーロッパ列強各国の諸窯とは異なる美観を備えた佳品でした。

まだイタリア以外では広く知られているとは言いがたい古作のジノリ。次の出会いも楽しみです。

 


 

年代|1770年頃
生産|イタリア
地域|トスカーナ地方
窯 |ドッチァ窯(初期ジノリ)

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