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18世紀、デルフト焼の中鉢

 

18世紀、デルフト焼の中鉢。

草花の周りに星空のように散る小花と、飛び交うような鳥は、鳳凰や瑞鳥でしょうか。東アジア由来の花鳥文の西欧的な解釈です。絵具の溜まりや輪郭のにじみは、錫釉の上に描かれたコバルトならではの景色で、環境が生んだおおらかさもそのまま器肌に残っています。朗らかで、どこか戯画的な印象にぐっと心を掴まれました。

西欧の食卓は皿や浅鉢といったものが主でしたので、東インド会社を通じて流入した中国や日本の磁器にみられる碗や鉢のような器は、当時さぞや新鮮に映ったことでしょう。高めの高台とやや外に反った口縁。器を手に持って扱う東アジアにおける食文化が生んだ意匠感覚が、写した形に表われています。

図柄だけでなく、形もまた模倣し、自国の素材と美意識で作り替えた当時のオランダの陶工の仕事に思いを馳せながら、現存する数を踏まえると皿や花器類と比べると一般的ではなかったとはいえ、それでもそれらを生活に取り入れた興味深い好事家がいただろうことを想像します。

今回の鉢は、対の状態でイギリスにて伝世したものです。卓上に留まらず、飾り棚に並べる場面を想定したサービスウェアの一部だったことを示唆しています。当時は別の器種も揃っていたのかもしれません。

茶が日常化した都市の富裕層がティータイムのスロップボウル(飲み残しや茶殻の受け)にした可能性は十分にあり得そうですし、スープや煮込みを注いだり、洗面周りで使ったようなことも考えられます。そんな器を現代の日本で紹介します。繰り返される文化の交感。日本人にとっては馴染み深さを感じる器が、どなたかの琴線に触れるようなことがあればと思うところです。

 


 

年代|18世紀
生産|オランダ
寸法|径15.3 × 高7.5cm

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