両掌に収まる、とてもちいさなオクトゴナル皿。推定1830〜50年頃、フランス。
やや施釉の甘いファイアンスフィーヌ質の軟陶に、クラシックな菱形エンボスのリム縁。作陶は精緻ではありませんが、ノーブルな輪郭を心地よく覆う地方的な素朴さに、寧ろ親近感を覚えます。小さい径はもとより、上がりも見たことがないものです。名の知られていないような民窯で僅かに作られたものだと思います。
日本国内におけるオクトゴナル皿の流通状況を鑑みれば、運よく見つかることはあるのでしょう。それでも、19世紀前期のフランス古陶にこれまで相当数触れてきたなかで培われた、当時どういった食卓の作法や器種が一般的だったのかという知見、それに骨董屋や蚤の市における古物の巡り方への身体感覚を伴って生まれる自然な感銘こそを、変わらず尊びたいと思います。こぼれ落ちていきやすい情緒的な感覚かもしれませんが、自分にとっては、いちばん守りたいものです。
「本当に信じられないよね、そのうえ、9枚なんて」
譲ってくれた親愛なるセバスチャンと、互いに微笑みながら盛りあがったメゾンでの時間をふと思い返しながら。
年代|推定1830〜50年頃
生産|フランス
寸法|約 幅17.8 奥行19 高1.5cm
