Glassware / Item

Saint-Louis Verre à Pied vers 1950-60

 

とにかくシンプルで、「普通」であることに惹かれたサンルイのワイングラスです。

1960年代〜70年代初期頃。

飾り気のない控えめな佇まい。カップと脚部は別々に作られ、最後に熱でつながれています。ステムの上にカップがちょこんと添えられたように見えて、端正さのなかに小さな愛らしさも感じられます。

サイズは中庸で、日々の食卓にすっと馴染みます。

何年も前に一度扱ったモデルですが、とても久しぶりに見つけました。もう一度扱いたいと思わせる器は、決して多くありません。一度きりの仕入れの良さがある一方で、このグラスには、かたちと気配がニュートラルで、ずっと変わらず生活の側に寄り添ってくれるような魅力があります。

 


 

1950〜60年代、クリスタルガラスについての覚書

佇まいや質感の美しさと道具としての健やかさが両立している、1950〜60年代頃、フランスのマニファクチュア製クリスタル、殊に無加飾のグラスウェアに心惹かれます。

湿度を帯びた艶のあるガラスは、濁りを感じさせない涼やかな透明でありながら、濃い素材としての存在感も備えています。影になる部分がぼんやりと灰に逃げることはなく、黒く沈んで残り、コントラストの高さが生む輪郭線が空間をぐっと引き締めます。細部にみえる職人の手痕が、全体の緊張を解きほぐす温かさです。

匿名性のある佇まい。モダニズムが成熟していく時代に、器は装飾から距離を取りはじめます。より機能的で、現代に通ずる道具としての秀逸さを備えた、そうした器としてのデザインが、ミッドセンチュリー以降のプロダクトで見つかりやすいのは自然なことだと思います。

一方で、同じモデルであっても、影の軽さや透明の白さと乾きから、より後年の個体に印象の違いを覚えることも少なくありません。屈折率や密度といった素材的な要因に加え、コストや歩留まりを鑑みた品質基準の置き方が、時代とともに少しずつ変わっていったのでしょう。

そうした移ろいを踏まえつつ、1950〜60年代頃の作にこそ、繰り返し手を伸ばしてきました。

常に何かを透過し、周囲との関係性のなかでのみ立ち上がってくる「透明」。その奥に潜む機微。材と造形の語りにそっと耳を澄ませます。

 


 

年代|1960年代〜70年代初期頃
生産|フランス
銘 |サンルイ
寸法|口縁6 高14cm

販売価格(税別)
¥11,000
Stock:4点

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