1829年、アルボラスに開かれた第1の陶器窯、1837年に近隣のグリニーに開かれた第2の陶器窯の刻印記録。窯毎に経営・製陶体制は異なり、社名変遷もありますが、両窯の刻印を網羅的に紹介します。窯の文献、資料が乏しく一定推測の域を出ないため、あくまで参考程度に御覧ください。随時追加・更新。
Arboras
アルボラス
推定1830年代
Arboras Rhône
アルボラス
19世紀
Arboras Femme Emile Decaen
アルボラス 第1窯
エミール・ドゥカン女史経営時代
1855 – 1875年頃
Grigny Dureault, Motte et Cie
グリニー(アルボラス 第2窯)
デュロー・モット社
1855 – 1882年頃
Grigny Tardy Motte et Cie
グリニー(アルボラス 第2窯)
タルディ・モット社
1882年以降
Grigny Tardy Motte et Cie
グリニー(アルボラス 第2窯)
タルディ・モット社
1882年以降
Grigny Tardy Motte et Cie
グリニー(アルボラス 第2窯)
タルディ・モット社
1882年以降
Grigny Tardy Motte et Cie
グリニー(アルボラス 第2窯)
タルディ・モット社
1882年以降
Grigny Arboras / グリニー、アルボラス
リヨンからローヌ川に沿って約20キロ南郊外に位置するアルボラスに1829年に創業した陶器窯。1837年には近隣のグリニーに第2の窯を開き、その後も様々な変遷を経ながら、作陶は1960年代まで続きました。
ローヌ川のふもとに位置し、良質な水源に恵まれていることに加え、フランス革命後、
クープランでは1800年代の作陶品を主に紹介しています。
最大4か所の窯を時代毎に稼働させ、種類の違う陶器、及び磁器を生産。窯毎に経営・製陶体制は異なり、社名変遷もあるため呼称の統一は難しいですが、1800年代初期のファイアンスフィーヌ作陶においては「アルボラス」を、中期から後期に掛けてのテールドフェール(半陶半磁器)作陶においては、アルボラスに加えて「グリニー」を、クープランでは適宜使い分けています。より広義に捉えるなら「ローヌの陶磁器窯」という総称もあり得るでしょう。
※因みに現在の行政区分では、アルボラスはグリニー市の一地区(Quartier)という位置付け。
前述の通り、1800年代初期には、クレイユ、シャンティイといったフランスの主要な陶器窯に倣ったような、繊細優美なファイアンスフィーヌを作陶しました。
1800年代半ばから後期にかけては、一層の独自性があります。殊にモデリングにおけるエレガントな品のよさは白眉で、釉調も、実直で安定感あるテールドフェールの作陶がフランス全土で最盛期を迎えていたなかで、年代を読み間違うような、どこか不安定で儚げな、前時代的なニュアンスを纏った品を多く手掛けました。
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記事はアンティーク陶器を通じた経験と複数の書籍を参考に、でき得る限りの事実確認を行った上で
作成していますが、あくまでクープランによる一見解としてお読みいただけますと幸いです。
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