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Curiosité / Items

Petit coffret en bois vers 1800

 

18世後期〜19世紀初期頃、フランス・アルプス。手彫りのちいさなコフレです。

都市圏からは程遠い、フランス南東部の自然豊かな山岳地帯(現在のスイスやイタリアとの国境付近)。農耕ができない厳しい冬籠りの時期に、女性は羊毛紡ぎをし、男性たちはさまざまな手彫りによる木工調度品を作ったといいます。

円で縁取ることなく四角の内側に添えられたロゼッタ風の模様は朴訥としていて、直線的な構成からは、ごく素朴な印象をうけます。左右対称なようで、よく見るとそうでないところにも、なんだか味わいがありますね。

第一義で実用のために作られた物々に、まさに手慰みのようにして描く(彫る)ことで慣習化し発展していった意匠性。ゴシックやルネサンスといった様式美を模倣しながらも、上流階級に納品するための専門職としてではなく、家庭内の生活を豊かにするという自然な想いが育んだ、田舎のフォークロワの匿名的なあたたかさを湛えています。枷せた木肌と深みのある色調も美しいです。

彼らの生活跡を感じるに十分な存在感がありつつ、大きすぎない控えめな寸法は、現代の生活にもすっと溶け込んでくれると感じます。

材は恐らく高山マツ(スイスパイン)。

 


 

約 幅29.5 / 奥行き14 / 丈5 センチ

販売価格(税別)
¥70,000
Stock:1点

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