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17th Century Knife

 

 

アムステルダムの骨董屋で譲ってもらいました。17世紀初期の個人携行用ナイフです。

一日の終わりに、なんとなしにレンブラントやフェルメールの図録をぱらぱらとめくりながら、手元のナイフを撫で眺め、彼らが生きた頃に思いを馳せる。偏愛的ですが、贅沢な時間です。

パンやチーズを切り分け、干し魚の身をほどき、あるときは荷の紐を断ち、封を切るようなこともあったでしょう。400年前、都市が人とモノの流れを変えていった時代に、職人や商人層といった新しい都市生活者の当たり前の日常に馴染んだであろう生活道具です。

貴族趣味とはやや異なります。都市の人々が共有したであろう節度を感じさせる、必要最小限を少しだけ超えた装飾性に心惹かれました。道具が必需品から選べる日用品へと変わり、同じ用途のなかに形や意匠の違いが生まれ、好みと体裁が市場で育っていく。そうした時代の流れを俯瞰しながら、私的な琴線に触れる一本を探します。

中世末期から近世初期にあたる時代ですが、この選択肢の豊かさは、広義の近代がはじまった気配とも言い換えられる気がします。ネーデルラント連邦共和国、いわゆる黄金時代のオランダに惹かれるのは、遥か昔のように思えながら、どこかこちら側に届く感触を覚えるからです。現代的価値観の萌芽に、今も昔も変わらず存在するナイフのような生活道具だからこそ、自然に気づくことができます。

真鍮系合金のハンドルに鉄刃。唐草風のレリーフの溝には、もともとガラス質のエナメルが施されていたことが、わずかに残る色彩から読みとれます。錆や剥落、長く人の手を離れて刻まれた時間の痕も魅力的です。

 


 

年代|17世紀初期頃
地域|オランダ(低地地方)
素材|黄銅/エナメル/鉄
寸法|17.5cm

販売価格(税別)
¥35,000
Stock:1点

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