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女性のための服飾小物、古き文化のかけら
18世紀末から19世紀初頭ごろ、市民革命を経た第一帝政期 (ナポレオン1世治世期) より、上流階級の女性の衣服において、王政期のパニエ入りの大きなドレスが否定され、肌着を省略したよりタイトなシュミーズ・ドレスが流行しました。それにより腰に巻きつけてドレスの内側に隠していた "ポケット" がなくなったため、貴重品入れを手に提げる必要性が生まれ、「レティキュール (Réticule)」と呼ばれることになる、小さなメッシュバッグが女性のファッションとして取り入れられるようになりました。
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ファイアンスフィーヌ、古手のオクトゴナル皿
1800年代初期頃を主としたごくわずかな時代に作陶されたファイアンスフィーヌの古手のオクトゴナル皿は、多くの古物好きの心を掴んで離さない魅力ある存在です。 比較的作陶数の多かったクレイユ、モントローといった窯だけでなく、あるときは独自に、あるときは模倣をし合いながら(例えば窯の経営者の転籍や、陶工の独立が、製法の伝播・変容の一因でした)、フランス各地で行われた相当数の作陶。 華美で貴族的な佇まいがありながらも、上品で抑制されたモデリング。絵付けや銅板転写等による柄のないシンプルなものであっても、陶土やリムデザインから窯・年代毎の個性が感じられる器は、そこに時を経て生まれた風合いが加わり、各々がたった1つの存在となります。
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1870年代、ルードヴィヒ・ロブマイヤーの私用グラス
瑞々しいカリクリスタル。 最高水準の技術力で仕上げられたアシッドエッチングとラウンドカットの繊細な連なり。 皇室御用達としてハプスブルク家からも愛されたウィーンのガラス工房ロブマイヤーで、2代目ルードヴィヒ・ロブマイヤーが、グラヴィールのデザインからモデリングまで手がけ生まれた、氏の私用アペリティフ・グラスです。推定1870年頃成形。
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エナメル彩色の初期ロンウィー
質の高い低温焼成のファイアンスフィーヌ陶器に、上品なエナメル手彩色が施された、1800年代半ばのロンウィー窯作陶のオクトゴナルプレート。 今でも「ロンウィー エナメル (Emaux de Longwy)」の名で知られる、エナメル陶器 (七宝焼き) で有名な土地、ロンウィー。その名声が広く知れ渡ることになったのは、1870年以降のことですが、こちらの器は1830〜1860年代頃、窯がエナメル彩色の技術開発に成功し、独自の作陶史を歩み始めたごく初期の時代の一品です。
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エルメス銀器についてのささやかな考察
品のあるハンドルデザインだけでなく、スプーンのつぼやフォークの爪といった細部にも、クラシックスタイルをベースに細やかなニュアンスが加えられている。 クープランとして心惹かれた、美しいプロポーションのエルメスの銀カトラリー。調べてみたところそれは、ルイ・ラヴィネとシャルル・ダンフェルなる2人の人物が19世紀末にパリに創業した、ラヴィネ・ダンフェルというオルフェーヴルリー (Orfèvrerie = 銀細工工房) で作り出されたものであることがわかりました。
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漂う修道院の日常
まっさらな白に縫い込まれた、ちいさな刺繍十字。 修道院で修練者としての生活を始めるにあたり、各自が持参したとされるリネン布です。製作経緯から採寸や素材感もまちまちで、そんなところに、かつて生きた名もなき人々の物語の集積を感じます。 使い込まれ風合いはしなやかに。修道院にまつわる物は多々存在しますが、修道士、修道女の暮らしを言葉通り肌で感じられる、そんな静かな一品。
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FAIENCERIE FILE No.1:Choisy le Roi
18〜19世紀にかけてフランスに勃興した大小様々な陶磁器窯。ごく有名な場合を除けば日本語の資料も乏しく、普段はなかなか詳細に語られることの少ない、そんな窯の出自や生産背景をまとめ、クープランのサイトにアーカイブ化する試みをしてみようと思います。初回はパリ近郊で19世紀に栄えた「ショワジー ル ロワ」のささやかな年代記です。
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