
アンドラーシュ・シフによる日曜日のマチネ。ピアノを介した作曲家と演奏家の対話に、そっと耳を傾ける。
テクニックのすばらしさ(数多のピアニストと比べてもすぎるくらいの)は、ともすると単調さや味気のなさにだって陥りそうなものを、数十年かけて同じ作曲家と向き合い続けてきた彼が、若い頃からもち得ていたある種の職人(技術者)として質の高さは、安易な言い方だけれど「一周まわって」、芸術家としての現在の彼の音楽にただよう老練な円熟みと混じり合い、今ではごく自然な瑞々しい気品として立ち上がっているように感じて、それがなんとも心地よかった。殊にハイドンがもつ瀟洒な茶目っ気は、彼の知性とも相性が良かったのかしら。
遠く及ばないけれど、そんなふうに自分も人生を歩みたいと思わされる。帰国直前にパリのコンサートスケジュールと向き合って、合間を見つけてのかけ込みでしたが、良い時間だったな。