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サマデ、辺境の固有性

 

サマデ(Faience de Samadet)。フランス南西部、ボルドー近郊で1730〜1830年代の約100年間という僅かな期間に存在した小さな村のファイアンス。

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18世紀フランスのファイアンス(陶器)において、ヌヴェールやムスティエ、ルーアンといった窯々と比べると、知名度は低く、模写・模倣の要素が強い装飾器や無加飾の白釉器であれば、自分を含めた日本人はもちろん、現地フランス人にも、ムスティエ、或いはヴァラージュ「辺り」と括られ掲示されることが多いのだろうと思います。

ですが、ある種の装飾器には、サマデ固有の確かなスタイルがあります。

今回、サマデ初期の陶器を象徴する器の1つを手にすることができました。
カマユー・ブルー(camaïeu bleu)、18世紀に流行した藍の単彩画法による小さな前菜皿です。

フランス語ではエシャンクレとも呼ばれる縁に切り込みを入れた、優雅でクラシカルなモデリングと、リム全体を覆う、鉄工芸の装飾を模した柔軟で美しい幅広の花飾り文。オルレアン公フィリップ2世からルイ15世治世期に至るまでの、レジャンス(摂政)とロココの洋式香がします。

とろりとした滑らかな施釉と陶胎の厚みも雰囲気よく、また経年のなかで刻まれた罅もこの器固有の美しさです。有機的でいて自然な景色。骨董品としての佇まいと雰囲気が醸成されていると感じます。

継ぎは漆と銀鎹にて。

ノーブルな格式と柔和で田舎的な素朴さの均衡。

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