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暖かさを彩る

 

18世紀の北フランス、リール近郊。
フランドル文化圏より、肉・魚を焼き上げるための錬鉄製グリルです。

日々家族が集って、寒い冬になれば身体をよせあい団欒の時間を過ごし、ハードな仕事を終えて空腹になったならご馳走を調理する。暖炉は、古くから家の中心で人生の暖かさをつかさどってきた、たいせつな存在でした。

そんな日常を一層彩るため、鉄工たちが14世紀以来、自由な発想で造り続けてきたのが装飾性豊かな暖炉道具です。

道具の特性としての無骨さからふわりと薫る、精巧で細やかな感性に心惹かれました。フランスでは18世紀後期までは狩猟権が土地の領主にあたるような特権階級に限られており、新鮮な食材を即日調理するということ自体が、実際には希少な行為であったことは知られていますが、造りと制作年代を踏まえても、当時として上手の品だったものでしょう。

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