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Glassware / Items

1960’s Baccarat “Flûte à champagne”

 

1960年代バカラ社、すらりと佇まうフルートグラスです。

緻密な設計に基づき、熟練した職人によるマウスブローで表現されたエレガント。

工芸と工業の狭間、職人による成形過程とプロダクトデザインの美しさが均衡を保っている時代の空気が感じられます。20世紀後期のバカラを象徴するデザインとして、作り自体は今に到るまで存在していますが、ガラスの表情がより硬質で機械的な印象も強い近年の成形品には個人的に手が伸びません。

スッと縦に長い21センチという高さに緊張を感じるプロポーション。
食卓に品格を添えながら、時代特有のやわらかさは空間を調和させます。

 

195o〜60年代バカラについての雑感

オールドバカラ、そんなふうにひと括りに記号化されることも多いですが、実際には年代ごとに各々の美質や纏う気配があります。

1950〜60年代頃のバカラ。量産と流通(加えてコンプライアンス強化)という世界的な潮流が同社にも押し寄せ、作りの簡略化が少しづつ行われていたことが個々のプロダクトを見ると感じる時代でもあるのですが、そうしたなかでモダニズム成熟期を迎えたなかで生み出されたバカラテーブルウェアについてだけは、個人的にごく心惹かれます。

工芸と工業の狭間。職人による成形過程とプロダクトデザインの美しい均衡。

カタチの高い精度は白眉。洗練優美を湛えながら、端正な佇まいがあります。

またリーデルによるエッグ型カップの発見や極薄なガラス成形技術の発展が、味、香りといった飲料各々の個性を引き出すための、より機能的なグラス設計へと繋がっており、道具としても秀逸なものが多いです。

それでいてそうした一切の表層を支えるバカラ職人の熟練仕事も、深部に未だ当たり前のようにして在り続けています。ディテールに宿る気配、気高くも自然な精神に尊さを感じます。

1970年代以降になると、バカラガラスの質はガラリと変わり、工業製品的な様相もより強くなります。全ての情報が、自分の知る限りは表側に出てきていないため、推測も含みますが、含有原料の変更や成形手法の転換があったことは間違いないと思います(これには近現代化に伴うやむを得ない事情もあります)。

ごく繊細でいて、確かな差異。ほんの20年前後、過渡期的浮遊感を纏い、食空間で凛とニュートラルに佇むヴィンテージバカラ。クープランなりに見つめ掬いとる、100年前のアンティークバカラとも、現行バカラとも異なる美質。左様な見方をする人を他には知らないけれど、その魅力を共感いただけたら嬉しいなと思っています。

 

Baccarat (バカラ)

世界で最も名高いクリスタルガラスのラグジュアリーブランドとして知られるバカラ。

その歴史の始まりは、1764年、フランス王ルイ15世に認可され、ロレーヌ地方のバカラ村に設立されたガラス工房です。1816年、現在でもバカラと並んで称されるクリスタルガラスのブランド、サンルイとの一時的な合併時に技法を学び、最初のクリスタルガラスを工房にて製造。その後、1800年代半ばまでは合併、或いは流通提携を続けますが、1860年「バカラ」として正式に商標登録。現在までその歴史が続いていくこととなります。

デザイン、モデリング、ホットワーク(ガラスの吹き上げ作業)、コールドワーク(カッティング、装飾作業)。あらゆる工程に、超一級の職人の仕事が介在した惚れ惚れする程に素晴らしい作りの工芸品。

クープランでは、そんなアンティークバカラの中から、美しくも現代的な風通しの良さが感じられる、上品な絢爛さを纏った品を厳選、紹介しています。

 

Crystal Glass (クリスタルガラス)

清らかな透明感、美しい輝き、高音の澄んだ音色。まるで天然の水晶のようなであることから、その呼び名で呼ばれるクリスタルガラスは、特に西洋では、装飾芸術としてガラスの価値を高めた存在です。

通常のソーダガラスより硬質で、溶解温度も低く抑えられるという特徴から、繊細なカットやグラヴィールをすることができますが、その成形には高度な知識や技術が必要です。

例えば歴史ある工房では、火を用いてクリスタルを吹く作業「ホットワーク」と、製品を研磨しカットや装飾を施す「コールドワーク」の、それぞれの工程に専門の職人がおり、フランスが世界に誇る著名なクリスタル工房バカラやサンルイは、同国の最優秀職人 M.O.F. (MEILLEUR OUVRIER DE FRANCE ) を多数輩出しています。

高品質なクリスタルガラス成型は、まさに伝統と技術の結晶です。

(ご売約済)

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