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Glassware / Items

Pichet Normand En Verre Soufflé

 

アンシャン=レジームの時代、革命前の18世紀末頃まで、良質な森林とシダが豊富な内陸のオルヌ近郊を主に、かつてのノルマンディー地方には、固有の豊かなガラス工芸文化が存在していました。

(地図 Click!)

同地の古いガラス器の中でも象徴的な存在であるシードル用ピシェ。18世紀半ば頃。

林檎の産地としてシードル醸造文化を持つ同地方。近世までは、高貴な飲み物として聖職者や支配者階層に好まれたことでも知られ、この種の装飾的なピシェは、祝祭や記念に際し裕福な家庭からの依頼によって主に作られたそうです。樽に保存されたシードルを注ぎ入れて食卓に。衛生面でまだ問題があった水に代わって、土地に住む人々の喉を日々潤してくれていたことでしょう。

上部に向かって窄んでいく幅広の胴に、細いネックと丁寧な設計の注ぎ口は、実用と美観を兼ね備えたノルマンディー近郊の特徴的な造形です。熱したガラス玉にモール(型)で筋を入れ、凝固する前に捻りあげて成形した波を打つようなツイスト装飾もまた、同地で水差しを成形するにおいて好んで用いられた意匠。重なる筋が光を浴び、見る角度によって変わる表情は、吹きガラスの美質をぐっと増して感じさせてくれます。

欠損やガラスの曇りはなく、すばらしい状態です。

穏やかで上質な牧歌的ノーブル。産業革命前夜のフランス地方部、希少なユニークピースです。

 

手吹きガラス

19世紀末までフランス各地の村の大・小さまざまな工房で吹きガラスが作られていました。

ガラスの製法には様々ありますが、この時代の民衆の器としての吹きガラスには、もっとも古いガラス製法である宙吹きという手法が主に用いられています。吹き竿の先に溶けたガラスをつけ、息を吹きこみ、空中で風船のようにガラスをふくらませて形作りを行う製法です。

あるいは金型を用いてカタチを整える場合には型吹きという製法が用いられることもあります。この技法は19世紀半ば以降に発展し徐々に機械による型吹きがメインとなっていきますが、古い作りで見られる手作業(マウスブロー)による型吹きガラスには、機械を用いた成型とは異なり気泡や揺らぎといった個体差があります。

仕上がりの雰囲気ははそれぞれですが、職人の気配が感じられる吹きガラスならではの表情はとても魅力的です。20世紀以降、ガラスの製造は「手工業」から「機械工業」へ移行していき、小さなガラス工房はやがて姿を消してしまいました。アンティークの吹きガラスには、今は失われてしまった手工業文化の一端を垣間見ることができます。

 

 


 

約 幅13.5 / 丈21 センチ

販売価格(税別)
¥45,000
Stock:1点

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