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Glassware / Items

Verre à anse en verre soufflé

 

プロヴァンスの骨董屋でキャビネットの奥から埃を被った状態で纏まって見つけて、作りの珍しさにじんわりと嬉しかったガラス器。店頭にて半数ほどはお選びいただきましたが、一部をHPでも紹介します。

ハンドル付きのガラス器というと、イギリスのデザート用パンチカップが思い浮かびますが、あちらが丸みを帯びて食器然のに対して、こちらは筒型なので、あくまで盃を想定していたものと思われます。同様のカタチがリキュールグラスに見られますが、それと比べると一二回りくらい大きいです。このカタチ・寸法は、洋酒器の一般的な慣習においてはあまり見られません。

職人の気まぐれの産物か、顧客の注文品かは分かりませんが、何といっても宙吹きによる手作業で付加されたハンドルの「かわいらしさ」に惹かれ仕入れました。

耐熱性ではありませんが、低音でじっくりと淹れた茶を注ぐにはぴったりだと思います。
暑い夏日に冷えたチャイというのも、きっと素敵です。

1900年頃、フランス。

 

吹きガラス

19世紀末までフランス各地の村の大・小さまざまな工房で吹きガラスが作られていました。

ガラスの製法には様々ありますが、この時代の民衆の器としての吹きガラスには、もっとも古いガラス製法である宙吹きという手法が主に用いられています。吹き竿の先に溶けたガラスをつけ、息を吹きこみ、空中で風船のようにガラスをふくらませて形作りを行う製法です。

あるいは金型を用いてカタチを整える場合には型吹きという製法が用いられることもあります。この技法は19世紀半ば以降に発展し徐々に機械による型吹きがメインとなっていきますが、古い作りで見られる手作業(マウスブロー)による型吹きガラスには、機械を用いた成型とは異なり気泡や揺らぎといった個体差があります。

仕上がりの雰囲気ははそれぞれですが、職人の気配が感じられる吹きガラスならではの表情はとても魅力的です。20世紀以降、ガラスの製造は「手工業」から「機械工業」へ移行していき、小さなガラス工房はやがて姿を消してしまいました。アンティークの吹きガラスには、今は失われてしまった手工業文化の一端を垣間見ることができます。

 


 

約 W8 / Lip φ5.3 / Stem φ4.7 × H7.2cm

(ご売約済)

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