Item / Pottery

1820-30’s Choisy le Roi “Lim Plate”

 

マテリアルの色気、デコレーションの妙。

1824-35年頃、ショワジールロワで作陶された繊細優美なリム装飾皿です。

間も無く台頭してくるテールドフェール(半陶半磁器)の気配をわずかに纏った、成熟期のファイアンスフィーヌ。テールトピップ技法による軽やかな陶胎と柔らかな純白施釉が魅せる美しさ。新古典主義的の模範とも呼べるようなレリーフ模様の上品さ。コバルトの真円の緊張と主張。心地よい塩梅です。

初見。手持ちの資料を改めて数冊めくってみましたが、似たデザインの掲載すらありませんでした。まだまだ見たことのない器があるのですね。19世紀フランス工芸史の奥深さをひしひしと感じます。

個人的には冷製の果実や野菜を添えて前菜皿として使いたい。或いはティータイムの一皿にも。浮かび上がる料理と、目に留まる皿の魅力。そんな古陶器使いを。

 

 

Choisy le Roi (ショワジー ル ロワ)

市民革命を経た1804年、パリから北に10km程離れた郊外に位置する工業地域圏ショワジー ル ロワで、パイヤール3兄弟が開いた窯です。

1863年、イポリット・ブーランジェがディレクターとなったときに急成長を遂げ、1878年にはH.ブーランジェ社 (H.Boulenger&Cie)の名をかざし、当代有数の陶器会社となりました。1920年には、クレイユ エ モントロー社と合併し、HBCM(Hiperolyte Boulanger-Creil-Montereau)社となりました。

※ショワジー ル ロワの地では1934年まで、HBCM社となってからは合併先のモントローの地で1955年まで、作陶が行われました。

1800年代初頭のファイアンスフィーヌから、1800年代半ば以降のテールドフェール(半陶半磁器)まで、特に19世紀を通して単独のショワジールロワとして作陶された品には、フランスの産業革命と並行して隆盛を極めたことを示すブルジョワジー的な堅実な装いのなかに、フランス中心部に窯を構えていたからこそでしょうか、どこか18世紀を思わせる前時代的な貴族趣味も見え隠れし、当代ならではの時の移ろいが強く感じられます。

パリという地が、作陶品の雰囲気を特徴付けると共に、アイデンティティーでもあった窯だと思います。

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(ご売約済)

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