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Items / Pottery

Pot couvert en faience XIXème Siècle

 

オランダを通じて伝播してきた中国磁器はフランス各地の陶磁器生産にさまざまな影響を及ぼしました。カマユー・ブルー(camaïeu bleu)と呼ばれる藍による単彩画法は、18世紀にその影響下で流行し、やがてフランス全土に根付いていくことになる絵付けのスタイルです。殊に曲線を生かした刺繍文様は、時の国王ルイ15世の宮廷で花開いたロココ様式との相性が良く、南フランスのムスティエ、或いはリヨン、クレルモンフェラン近郊等、各地のファイアンスリー(陶器窯)で好んで用いられました。

軽妙洒脱な装飾性が特徴の刺繍文様ですが、大らかで牧歌的なファイアンス陶に描かれることで、華美に寄りすぎない、落ち着いた印象を生みます。遠く東洋への思慕とパリの宮廷への憧憬は、フランスの田舎の気候風土が生んだマテリアルと、そこに暮らす陶工の作陶感性を通して、独自の美しさに昇華されます。

紹介の一品は、18世紀フランスの趣を湛えながら、同時に心地よい現代性を帯びており心惹かれました。
装飾の塩梅が程よく、マットな釉調も好印象です。

両取手に蓋付き。現代ではシュクリエと呼ばれる保存器です。サービスウェアは、皿類に比べても数が少なく、コレクションピースと呼びたくなります。飾り添えるだけでも絵になりますし、内部に欠損や釉剥がれがなく、実用性を備えていることにも魅力を感じます。

 


 

Size: W19 D12.5 H15.5cm

(縁部の削げはありますが、欠けやヒビ等はなく、古物として美観を保った一品だと思います。)

(ご売約済)

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