Item / Pottery

Plat en faience fine XVIIIeme Siècle

 

美しいマチエールと気配。

フランス東部からの出物は、恐らくはロレーヌ公国領リュヴィル、或いは近郊で作陶されたものと考えられます。パリのポントシューとはまた異なる文化を築いた、テール・ド・ロレーヌとも呼ばれる18世紀後半の初期ファイアンスフィーヌです。

象牙色の陶胎と彫刻的なレリーフ、絶妙なニュアンスの古色。

リムの意匠は、より若い作りのサルグミンヌが知られていますが、その本歌と呼べるものでしょう。

技術の発展途上だからこそ、この時代の初期ファイアンスフィーヌの陶胎や施釉には不安定さを孕んでいます。ですが不均一な歪みやムラは、当時の陶工の苦心の証であり、そこには全てを掌握できていないなかで生まれた、自然で有機的な色気があります。

一般的な古物市場において、この種の陶器が博物館のようにコンプレ(食卓用セット一式)で揃っていることは皆無に等しく、寧ろたった1点や2点が、欠けたり割れたりすらした状態で唐突に姿を見せることが殆どなのですが、そこには盛者必衰の儚さを個人的に見ます。

高尚性や希少性なんて傍目にはとうに剥がれ落ちた古陶器は、ただ無垢に、健気に佇まう。

 


 

φ32.7 × H4.2cm

(ご売約済)

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