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Items / Pottery

Creil et Montereau Assiette Creuse Epaisse

 

1880〜1890年代、クレイユエモントロー社、クレイユ製陶所作陶。

パリ郊外、クレイユの街から東に約30キロ程離れた小さな村ベティシー=サン=ピエールにかつて存在したダンスホールのオリジナルとして作られ、店で日常使いされたリム深皿です。

ア・ラ・ヴィエイユ・ブテイユ(À La Vieille Bouteille)、オールドボトルを意味する店名と、中心に配されたワイン、或いはコニャック瓶のシンボルマーク。粋でカッコいいです。

当時、人口2000人にも満たなかった小さな村において、店は、若者たちが集い交流を深めるための酒場であり、重要な社交の場だったことでしょう。彼らが過ごした時間の傍ら常にこの皿が在ったことは、タフに使い込まれできた傷や染みからも窺い知れます。

上品で洗練された19世紀、クレイユエモントロー社の作陶の特質と当時の流行りを合わせて鑑みるなら、敢えて厚みのある陶皿が店用食器に選ばれたことは、野暮ったい田舎的なセンスと言うこともできるかもしれませんが、寧ろそこにこそ生活の匂いが香り立ち、愛着を感じます。

こんな皿って、ありそうでないんです。目に留めてくださる方がいらっしゃいましたら。

 

Creil et Montereau (クレイユ エ モントロー)

1796年に開窯したクレイユと、1700年代前半から製陶を続けていたモントローが、1840年に合併してできたのが陶器会社クレイユエモントロー。1920年にはショワジールロワと合併し、社名をHBCM (Hyppolyte-Boulanger Creil Montereau) と変更し、1955年まで作陶が続けられました。

主なマテリアルは当時の主流であったテールドフェール(半陶半磁器)。
パリのブルジョワジーを顧客に、当時のフランス製陶文化を牽引しました。

地図(Click!

 

Terre de fer (テールドフェール)

技術的・技法的というよりは、商用的な言葉としての側面のほうが強いため語義は多岐にわたり、厳密な定義付けをすることは難しいですが、1800年代初期までの繊細なファイアンスフィーヌ陶器の少量生産を経て、1800年代半ば以降に台頭する市民社会に向けて量産されるようになった、より実用的で磁器質の強い陶器(半陶半磁器)のことを指してフランス語では「テールドフェール」と呼びます。

それ以前の陶器に比べると、主原料である粘土に磁器生産に使われるカオリンや長石がより多く加えられ、釉薬はホウ砂が主原料となっています。

生産者の匂いが感じられる不均一な施釉や経年による貫入といった古い陶器ならではの不安定さと、ある程度量産化が整備された時代の陶器ならではの実直な佇まい。双方が同居した過渡期的バランス感覚は、今の暮らしに溶け込んだときに、無理のない心地よさを生んでくれるなと感じています。

クープランの定番品です。

クレイユエモントロー、ショワジールロワ、ジアン、サルグミンヌ等々。当時のフランスにおける陶器製造の中心にいた様々な陶磁器窯で、多様なテールドフェールの器が作られました。

 


 

φ22.1 × H4cm

(ご売約済)

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