Item / Pottery

Bol Blanc à Café en Relief

 

1800年代後期のカフェオレボウルです。

その名の通り、たっぷりと牛乳を注いでコーヒーを飲むことを主な用途としているカフェオレボウルですが、ヨーロッパで衛生面における化学的な研究が進み牛乳飲用が始まったのはほんの1850年代頃のこと、その後、フランスで牛乳の大衆化と共にカフェオレボウルが食器として一般市民に普及したのは1900年前後ごろのことで、食器としての歴史が実は非常に浅いです。

さて、紹介の一品。

フランスにおいて植物文のレリーフ陶器が主だって流行ったは1860〜1900年頃のことです。前述したカフェオレボウルの普及時期と完全に重なってはいないことから、「レリーフ装飾のカフェオレボウル」は、例えば皿類のそれと比べても個体数がかなり少なく、故にささやかな好事家のコレクションピースとして知られています。

食器としての風通しの爽やかさと古きフランスのオブジェとしての重たさの均衡が、個人的な琴線に触れます。作陶は恐らくクレイユエモントロー社。寸法も中庸で心地よいものです。

 

Terre de fer (テールドフェール)

技術的・技法的というよりは、商用的な言葉としての側面のほうが強いため語義は多岐にわたり、厳密な定義付けをすることは難しいですが、1800年代初期までの繊細なファイアンスフィーヌ陶器の少量生産を経て、1800年代半ば以降に台頭する市民社会に向けて量産されるようになった、より実用的で磁器質の強い陶器(半陶半磁器)のことを指してフランス語では「テールドフェール」と呼びます。

それ以前の陶器に比べると、主原料である粘土に磁器生産に使われるカオリンや長石がより多く加えられ、釉薬はホウ砂が主原料となっています。

生産者の手跡が残る不均一な施釉や石膏型の寸法差異、或いは経年による貫入。そうした古い陶器ならではの不安定さと、ある程度量産化が整備された時代の陶器ならではの実直さの双方が同居した、過渡期的な均衡は、今の暮らしに溶け込んだときに、無理のない心地よさを生んでくれるように思います。

クレイユエモントロー、ショワジールロワ、ジアン、サルグミンヌ等々。当時のフランスにおける陶器製造の中心にいた様々な陶磁器窯で、多様なテールドフェール陶器が作られました。

 


 

口径12.8 / 丈6.5 センチ

(ご売約済)

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