Piatto terraglia bianca XIX sec

イタリアで作陶された上質陶器「テライヤ (Terraglia)」のオクトゴナル皿。

南フランスの蚤の市で、イタリア人ディーラーのウブだしの品から譲ってもらいました。

イギリスで生まれた上質陶器クリームウェアの作陶技法や意匠の時好は、ファイアンスフィーヌとして認知度の高いフランスだけでなく、ヨーロッパ大陸を横断し、イタリア半島にも伝播し、古くからの陶芸文化に新風を吹き込んでいました。

これまでも幾度か扱ってきたイタリアのテライヤですが、イギリスやフランスの作りに完璧に倣って、見分けがつかないくらいに瓜二つであることもあれば、釉薬やモデリングに確固たる独自性を帯びていることもあり、造りは多種多様です。

オクトゴナル。カタチは当時のヨーロッパにおける流行のそれですが、成形感には、他国の上質陶器とは異なる、固有の趣きを湛えています。失透したようなマットな釉調は、上品で雰囲気があります。

別ページで同じタイミングで見つけた黄釉のオクトゴナル皿（Click!）を扱っています。見比べていただくと、窯の作風の幅広さに不思議さを覚えるのではないでしょうか。

類品を掲示した資料は寡聞にして知らず、刻印もないため窯は不詳。釉の上がり1つとっても陶工が意図したものであったかを詳らかにすることが叶わないないのですが、1800年代半ばに、当時のヨーロッパの先端に倣って、北イタリアの小さな地方窯で作陶されたというのが見立てです。

主権国家としてのイタリアが形成する前後の時代。今でもイタリアは地方ごとに独自性が著しいことはよく知られますが、そうした実情が、こうした工芸品からも垣間見えるように思います。

まだまだ知らない窯が存在するのですね。

渋くて珍しい佳品。寸法もちいさめで塩梅よいものです。目に留まる方がいらっしゃいましたら。

約幅23.5 / 22 / 高2.3 センチ

見込みに眺めのヘアラインがございます。僅かに裏面に貫通していますがヒビにはなっておらず、ここから広がっていくようなことはありません。踏まえて価格に反映しておりますため、ご了承のうえ注文をお願いいたします。

(ご売約済)